研究課題/領域番号 |
25450312
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人水産総合研究センター |
研究代表者 |
清水 昭男 独立行政法人水産総合研究センター, 中央水産研究所, グループ長 (90371830)
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研究分担者 |
筒井 和義 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (20163842)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 水温刺激 / 生殖腺刺激ホルモン / 成熟 / 生殖内分泌系 / マミチョグ |
研究概要 |
マミチョグにおいて水温上昇刺激に対する生殖内分泌系の応答を調べるため、自然条件で飼育した成魚を、2月上旬より、8℃-11L、16℃-11Lの条件下で6週間飼育した。この間1週間ごとにサンプリング(採血と脳、脳下垂体、生殖腺のRNA採取)を行った。6週間飼育後、8℃区においては成熟がほとんど進まなかったが、16℃区においては、雌雄ともほとんどの個体が完熟状態に達していた。脳下垂体における生殖腺刺激ホルモンmRNAの定量PCRによる測定結果において、FSHβmRNAは常にある程度の量の発現量を示すとともに水温による差が小さく、4週目のみ16℃の方が有意に高かった。一方、LHβmRNAの発現量は実験開始時には著しく低かったが、16℃の実験区では1週目から高い傾向を示し、3週目以降は16℃の方が8℃よりも著しく高かった。以上のことから、FSHとLHは水温上昇刺激に対する反応について大きな差があり、水温上昇による成熟促進反応について異なった役割を示すことが分かった。さらに、産卵終了後の未熟期における水温下降刺激に対する生殖内分泌系の応答を調べるため、9月下旬の未熟期より、マミチョグ成魚を16℃-11L、28℃-11Lの両条件下で6週間飼育した。この間1週間ごとにサンプリングを行い、血液、脳、脳下垂体等の採取を行った。6週間飼育の結果、16℃区においては初期段階の生殖腺発達が認められたが、28℃区においてはほとんど生殖腺発達が起こらなかった。これらのサンプルは次年度以降、定量PCR及びELISAに供する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
水温上昇刺激に対する反応に関する飼育実験を予定通り完了し、さらに、次年度に予定していた水温下降刺激に関する飼育実験も行うことができた。達成度は良好である。
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今後の研究の推進方策 |
25年度に採取したサンプルを用いて、各組織における各種生殖内分泌関連分子のmRNA定量を行い、血液中の生殖腺刺激ホルモン(FSH及びLH)濃度を測定する。水温上昇刺激、水温下降刺激の両方に対する反応について、脳-脳下垂体-生殖腺系の時系列的な発現解析を行い、どの部位のどの生体分子から反応が始まり、どう反応が伝達されてゆくかを解明する。必要に応じて、in situ hybridizationや免疫組織化学を用いて生理活性物質の産生部位/細胞をも検討する。これらの結果を総合的に解析することで、環境因子-脳-脳下垂体-生殖腺の流れにおける生体分子による情報伝達機構のモデルの骨格部分を作製する。さらに、フィードバック研究、拮抗阻害剤等投与実験、生殖腺組織片や脳-脳下垂体スライスの生体外培養によるホルモン効果の検証実験等を行うことにより、このモデルの妥当性を向上させ、より精密なものとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
生殖腺刺激ホルモンのELISAによる測定において、感度上昇の可能性を検討するため、シグナル増幅試薬の購入を予定していたが、残金が不足し購入できなかった。 不足分を26年度予算で充当し、抗体検出シグナル増幅試薬の購入に用いる。
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