研究課題
マミチョグにおいて水温上昇刺激に対する生殖内分泌系の応答を調べるため、自然条件で飼育した成魚を、2月上旬より8℃-11L、16℃-11Lの条件下で6週間飼育した。飼育後、8℃区においては成熟がほとんど進まなかったが、16℃区においては雌雄ともほとんどの個体が完熟状態に達していた。脳下垂体における生殖腺刺激ホルモンmRNAの定量PCRによる測定結果において、FSHβmRNAは常にある程度の発現量を示すとともに水温による差が小さく、4週目のみ16℃の方が有意に高かった。一方、LHβmRNAの発現量は実験開始時には著しく低かったが、16℃の実験区では1週目から高い傾向を示し、3週目以降は16℃の方が8℃よりも著しく高かった。さらに血中ホルモン量のELISA法による定量を行った結果、FSH濃度は水温上昇後4週目及び6週目に増加したが、LH濃度には水温による明らかな差は認められなかった。以上のことから、FSHとLHは水温上昇刺激に対する反応について大きな差があり、水温上昇による成熟促進反応について異なった役割を示すことがわかった。さらに、マミチョグ脳下垂体の生体外培養によって、生殖腺刺激ホルモンの合成と分泌に及ぼすGnRHの影響を調べた。その結果、GnRHはFSHとLH双方の合成と分泌を見かけ上促進したが、LHへの主作用は分泌の促進であってすべての季節において反応するのに対し、FSHへの主作用は合成の促進であって非産卵期には不明瞭になると考えられた。加えて、マミチョグ脳のcDNAを次世代シークエンサーによる解析にかけ、生殖内分泌系関連の遺伝子同定を試みたところ、GnRHR2、GnIH、Kiss2などの重要な遺伝子を同定することができた。
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J. Neuroendocrinol.
巻: 28 ページ: in press
10.1111/jne.