研究課題/領域番号 |
25450314
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
澤田 学 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (60142791)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ニューメラシー / グラフリテラシー / 認知バイアス / 食品リスク認知 / 牛肉 / 選択実験 / 支払意志額 |
研究実績の概要 |
ニューメラシー(確率・統計情報を読み取る能力)とグラフリテラシー(グラフに示された情報を読み取る能力)の測定,消費者のリスク認知バイアス,食品リスク認知の把握,牛肉の選択実験を兼ねたweb調査を実施した. 既存のニューメラシー尺度測定値分布を比較検討した結果,分析対象集団については,Schwartzらの尺度項目とColeyらのBerlin Numeracy Test尺度項目を併せた尺度が最も歪みが少なかったので,当該尺度を採用した.グラフリテラシーは,Galesicらの尺度により測定した.ニューメラシーは高学歴で合理的思考傾向や理系意識が強い回答者ほど高かった.ニューメラシーとグラフリテラシーの間は正の有意な相関があった.比率バイアスと負のフレーミングバイアスは,低ニューメラシー層で多かった.しかし,様々な食品危害要因の不安度についてはニューメラシーの高低で差は認められなかった. 牛肉の選択実験は,分析属性を産地(福島県,鹿児島県,豪州,米国),価格,放射性物質検査結果(海外産は無検査,実験1では福島県産は基準値以下,鹿児島県産は無検査,基準値以下,実験2では福島県産は基準値以下,基準値の1/10以下,未検出,鹿児島県産は無検査,未検出)として,実験前に牛肉の放射性物質検査結果の実態ならびに食品摂取による内部被ばくの現状と最大に見積もった発がんリスクについての情報提供をした場合としない場合の2通り実施した. その結果,牛肉に対する支払意志額は鹿児島県産が最も高く,次いで福島県産,豪州産,米国産の順であったが,実験1ではニューメラシーが高い回答者ほど,鹿児島県産(豪州産と米国産)を相対的に低く(高く)評価すること,実験2ではニューメラシーが高い回答者ほど鹿児島県産を相対的に低く評価し,事前に情報提供がある場合に豪州産と米国産を相対的に高く評価することがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
26年度に実施したweb調査回答データの解析のうち,回答者のニューメラシー測定値と食品放射能汚染リスク認知・態度の相互依存関係ならびに産地別牛肉支払意志額に及ぼす回答者のニューメラシー影響経路について詳細な検討が未だ残されている.
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今後の研究の推進方策 |
第1に,26年度に実施したweb調査回答データの解析で残されていた,回答者のニューメラシー測定値と食品放射能汚染リスク認知・態度の相互依存関係ならびに産地別牛肉支払意志額に及ぼす回答者のニューメラシー影響経路について詳細な分析を行う. 第2に,前年度と同じ回答者を対象にBSE国内対策の緩和に焦点を当てたweb調査を実施し,その回答データを用いてニューメラシーならびにグラフリテラシーと消費者の牛肉選択の関連を実証分析する. 第3に,25年度以降の研究成果をとりまとめる.
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