研究課題/領域番号 |
25450326
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
坂井 教郎 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (80454958)
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研究分担者 |
内藤 重之 琉球大学, 農学部, 教授 (30333397)
豊 智行 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (40335998)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 産地仲買人 / 島嶼 / ばれいしょ / さといも / 産地間調整 |
研究概要 |
本年度は,先進地域と位置づけられる沖永良部島,大規模生産地域の北大東島,小規模生産地域である与論島を対象に,実態調査を実施し,いも類の生産の状況と集出荷体制について明らかにした。 沖永良部島では,ばれいしょ農家,農協および産地仲買人の調査から,農家の出荷行動と集荷実態について解明した。ここでは系統と産地仲買人が競合するなかで集荷が行われ,産地仲買人の多くは長崎県の商系業者との結びつきが強いという特徴があった。北大東島におけるばれいしょは,全量系統出荷でほぼ全量沖縄県内向けであったが,専業的農家はばれいしょからかぼちゃの生産に移りつつあり,ばれいしょの生産量は減少傾向にあった。 また島嶼地域のばれいしょ流通を消費地に近い側から明らかにするために,東京・大阪の卸売市場における流通実態調査,鹿児島県経済連における産地間調整に関する調査を実施した。島嶼地域のばれいしょは同時期に出荷される場合であっても,各産地は品種や出荷市場を変え,産地間の競合が起きにくいようになっている。これは経済連が各産地に情報を提供し,鹿児島県内の産地を調整しているためである。また卸売市場では,系統と商系業者を使い分けることで安定的な荷受けが可能となっていた。 他方,与論島は経営規模が小さく,ばれいしょ経営は困難なため,さといもが生産されている。さといもは全量系統出荷であるが,大きく3つの出荷方法があり,経営組織と経営内におけるさといもの位置付けの違いによって出荷方法が異なっている。ただし出荷時期に関しては明確な傾向は見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
南西諸島におけるばれいしょの産地である沖永良部島,北大東島およびさといもの産地である与論島の生産および流通の状況についてはほぼ明らかにすることができており,調査は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は島嶼地域の他のばれいしょ産地である徳之島,長島の生産・流通の実態調査を実施する。また産地仲買人とのつながりが強く,島嶼地域のばれいしょの競合・連携産地である長崎県の調査を実施する。 他方で,いも類全般の消費量が年々減少していくなかでは,他方で付加価値の高いいも類を生産・出荷する必要もある。その事例として,ノワールムティエ島の調査を行い,付加価値の高いばれいしょの生産・出荷の実態とブランド管理の方法を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究代表者が2月に病気入院したため,予定していた調査の一部(徳之島の予備調査)を実施できなかったため。 徳之島の予備調査は本年度に早期に実施するとともに,次年度の調査も予定通り実施する。
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