南日本の島嶼地域で広く栽培されているいも類(ばれいしょ,かんしょ,さといも)を対象に,その産地の生産と流通の実態と集出荷業者の役割と特徴を明らかにし,いも類の存在意義について考察した。 ある産地では,JAと産地仲買人の競合が集出荷の不安定性を助長している産地もあったが,生産者が両者を使い分けることで安定的な生産に繋がっている産地も存在した。一方,不利な条件下でも生産者が複数の出荷先・選別方法を選択可能にすることで長年の産地の維持を可能としてきた島もある。政府からの保護を受けているいも類については,その地位の低下が大きく,新たな意義を付加する必要があることを指摘した。
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