研究課題/領域番号 |
25450328
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長崎県立大学 |
研究代表者 |
木村 務 長崎県立大学, 経済学部, 教授 (20140931)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 農業のグローバル化 / 農業の産業化 / 協同組合組織 / 企業組織 / 農民専業合作社 / 付加価値形成 / 技術力向上 / 持続可能な産地 |
研究概要 |
現代の農業はグローバリゼーションと産業化への対応が求められている。零細経営が集積している東アジア農業においては容易ではないが、農業者の協同組合組織によってグローバル化・産業化が進められている。そこで本研究では、農業のグローバル化と産業化が著しい茶産業を対象として、東アジア零細農業における協同組合組織の組織・事業方式の革新による産地農業の持続可能性について検討する。中国の茶農民専業合作社、韓国の農協組織内の茶生産組合、日本の農協組織内の茶業組合において組織・事業方式と農業者意識との関係の統計的分析を行い、零細農業において付加価値を高め雇用を増やす持続可能な協同組合組織の組織・事業方式モデルを析出することが本研究の目的である。 平成25年度は主として中国の茶産地の協同組織に対する現地調査を実施した。具体的には、平成25年8月と平成26年3月に、福建省泉州市安渓県と湖南省岳陽市華陽県において、農業関連部局、農民専業合作社、加工流通業者および茶農業者に聞き取り調査およびアンケート調査を実施した。 中国農業においては農民専業合作社の組織化が急激に進んで、農業者の約半数近くが協同組合組織に関わるに至っている。茶業専業合作社では、企業組織に準じた組織形態になっているが、参加農民の所得は高く満足度が高かった。これらの分析結果を日本流通学会九州部会、日本協同組合学会大会において発表するとともに、論文としてまとめ、学内雑誌等で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
中国の茶農民専業合作社、韓国の農協組織内の茶生産組合、日本の農協組織内の茶業組合において組織・事業方式と農業者意識との関係の統計分析を行い、零細農業において付加価値を高め雇用を増やす持続可能な協同組合組織の組織・事業方式モデルを析出することが本研究の目的である。 今年度は中国の茶産地を対象として組織・事業方式の分析と農民意識の統計分析を行い、仮説モデルを提示することができ、今年度の目標は、十分に達成した。 3カ年の研究期間では組織・事業方式の日中韓の比較研究を目的としており、最終目的に対する今年度の達成度は40%である。
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今後の研究の推進方策 |
研究目的の達成のために、平成26年度は日本と中国の茶産地の協同組織に対する現地調査を実施する。現地調査で収集するデータは、①各協同組織の組合員構成や財務収益などの組織構造と生産技術指導・商品開発・加工・販売等の事業方式に関するデータ、②組合員農業者の協同組織への出資や事業利用に対する農業者意識データである。この両データの関係を統計的に分析し、付加価値を高め雇用を増やす持続可能な協同組織の仮説的な事業組織モデルを検出する予定である。 調査研究の実施体制としては、今年度の調査協力者であった大学院生が九州大学大学院と中国華僑大学厦門工学院講師に転出したが、引き続き協力することとなっている。また、長崎県立大学東アジア研究所と中国江蘇省の南通大学工商管理学院の張准教授との間に相互協力関係ができており、中国の現地調査の実施は可能である。
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次年度の研究費の使用計画 |
茶関連統計資料の発行が年度を超えたために予定していた物品費支出が年度を超えてしまったため。 茶関連統計資料が平成26年度6月には刊行予定であり、購入し物品費として支出する予定である。
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