研究取りまとめに向けて南相馬市、飯田市、仙田市、京都市、盛岡市、世田谷区等で補足的な調査を行い、報告書の作成を行った。 報告書は『地域農業の持続システムー48の事例に探る世代継承性』として農山漁村文化協会から2016年3月に刊行した。同書は4章292頁からなり、研究テーマである「合併農協の中に『小さな農協』を創る」を核に、地域農業の持続システムを、平場水田農業地帯、被災地農業地帯、中山間地域農業、都市農業の4地域について、それぞれ前2者の集落営農、中山間地域におけるマ―ケティング、と農業における都市計画に仮説的に設定し、実証を行った。 仮説はある程度までる事例により裏付けられたといえるが、各事例の事態は進行中であり、なお中間報告にとどまるといえる。集落営農はなお協業に至らない事例も多く、それらは協業以前に今しばらくとどまるものと想われ、マーケティングにおける地域ブランドも広域農協等のそれにとどまり地域統一ブランドを打ち出すには至っていない。都市計画も都市農業振興法が制定された段階で、それが都市計画法の見直しにまで及ぶかは未定である。 これらの点について引き続き調査を継続していく必要がある。
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