研究課題/領域番号 |
25450331
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
上岡 美保 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (90339094)
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研究分担者 |
田中 裕人 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (00339095)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 地産地消 / 地域活性化 / 佐渡市 / 住民意識 / AHP分析 / 観光 / 地域資源 |
研究概要 |
平成25年度は、主として2つの調査を実施した。 調査の一つ目は、離島地域として新潟県佐渡市を対象とし、食育にとっても重視されている地産地消の住民意識に焦点をあて、「佐渡市における地産地消に関するアンケート調査」を実施した。調査は、平成25年11月中旬から12月にかけて郵送調査によって実施した。調査票の配布数は2000部、回収数は813部(回収率40.7%)であった。調査内容は、「地産地消の理解度」「地元産農林水産物へのイメージ」「地産地消を推進する上での施策の重要度」「地元産農林水産物の嗜好度」「地元産農林水産物の購入頻度」等を主として質問した。調査結果から、地域活性化においても地産地消が重要であると認識する住民は多かったものの、情報の少なさや行政・生産者・消費者それぞれの一層の努力が必要という意見が見られた。また、特に注目すべきは、地産地消を推進する上で重要だと思われる6項目「①消費者の要望に対応した農林水産物の生産」「②生産者と消費者を結ぶ交流やPR活動」「③店舗・直売所等における佐渡産農林水産物の利用」「④学校・福祉施設等における佐渡産農林水産物の利用」「⑤農業・商業・工業の連携(6次産業化)による地場産業の推進」「⑥食育の推進と伝統料理の継承」についてAHP分析を適用した結果、重要度は⑥>⑤>④>③>②>①となり、特に、項目⑥⑤④の食育・伝統料理・六次産業・学校・施設での地場産物利用が重要視されていることが明らかとなった。 調査の二つ目は、全国47都道府県の観光行政担当課を対象として、地域活性化の一つとしても重要な観光を活性化する上で重要な地域潜在資源活用についてアンケート調査を実施した。調査の結果、行政が主導的に方針を立て、食農環境資源のさらなる活用と人材育成等のソフト面の強化が各地域において重要な課題とされていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請時における平成25年度の研究実施計画では、(1)関係資料・文献の検索、(2)調査地選定の為の行政、関係各所等へのヒアリング調査の実施し、具体的な調査地を選定する。(3)調査地の選定及び各調査地への依頼、(4)食育及び地産地消を加味した住民調査のためのアンケートの設計及び調査について予定していた。以上のように、当初の研究実施計画に則れば、平成25年度の達成度は、予定していた調査を1地域については概ね実行できたと考えている。 住民を対象としたアンケート調査についても、佐渡市の協力を得て、スムーズに実施することができた。特に、発送及び回収は市を中心に実施頂いたことで、調査票の回収率も通常に比較して高い回収率となった 調査協力機関への結果報告については、既に第一段階としての集計結果、分析結果について報告済みである。今後は、次項目の「今後の研究の推進方策等」とも関連するが、調査協力機関と意見交換を実施し、補足調査が必要な場合には、さらに別の調査の実施を検討する。
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今後の研究の推進方策 |
(1)平成25年度に実施した調査結果は第一段階としての取りまとめは既に実施している。従って、今後は、調査データを使用して、さらに深く分析を実施することとしたい。また、調査協力機関の担当者と調査値の意見交換を行い、補足調査の必要性、さらに別の対象への調査の必要性を検討し、必要があれば調査の手続きを進める。 (2)食育への協力体制・地産地消を加味した農林漁業者のためのアンケート設計:本研究では、農林漁業者と消費者の連携強化のための主要要因についても検討することから、農林漁業者(生産者)に対する、食育への協力体制や地産地消に関する調査票の設計も行う予定である。調査設計に当たっては、当該地域における農業団体や行政(農業関連の部署)に対してヒアリング調査を行い、食育や地産地消における課題・問題点を洗い出し、より具体的・現実的な調査票の設計に努める。調査時期については、現地の担当者と検討し、農林漁業者を対象としたアンケート調査を実施する。 (3)食品産業関係者等へのアンケートの設計:本研究では、広義の消費者として外食産業等の食品産業関係者にも「食材調達と消費者への情報発信に関する意向調査」を実施する。わが国の食生活の外部化が著しい今日においては、食育の推進や地産地消の促進について、食品産業が大きな役割を果たすと考えられる。調査内容として、地産地消の促進を踏まえた食材調達の可能性について、一般消費者に対する食育としての情報発信、啓発運動に関する意識について等を盛り込む。調査に際しては、飲食業組合等の協力を仰ぐ。
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