研究課題/領域番号 |
25450333
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
菅沼 圭輔 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (50222047)
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研究分担者 |
野口 敬夫 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (70584564)
金田 憲和 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (80233857)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 中国 / 畜産業 / 大規模経営 / 家畜伝染病 / 畜産政策 / 産業内貿易 / グルーベル・ロイド指数 |
研究実績の概要 |
構造分析の部分では、まず中国の政府の大規模・標準化畜産経営の育成政策に焦点を当て、山西省の畜産企業調査を実施し、品種改良、疫病対策、廃棄物処理を内容とした畜産経営体制の整備の過程と、飼料や生産物価格の変動への対応について調査を行った。その結果、内陸部に位置する山西省は北京等大都市向けの供給基地として展開しつつあること、幼畜・配合飼料の市場が未確立であるため、リスク回避のため自家交配・自家配合を行う傾向にあることが分かった。 また、日本と台湾といった東アジアの畜産業の構造や家畜疾病対策について研究も行政機関や企業を対象として補足的に実施し、家畜飼養や産地流通、家畜疾病対策について明らかにした。 計量分析については、中国の飼料・食肉を含む食料品貿易について、1992年~2013年の22年間の構造変化を検討した。その結果、まず中国の輸出額は6倍に輸入額は25倍に伸び、グルーベル・ロイド指数(GL指数)は、8から27まで上昇したこと、特に中国がWTOに加盟した2001年以降の上昇が顕著であることを明らかにした。品目別に見ると、「油糧種子」「動物性・植物性油脂」では早い段階で輸入額が輸出額を追い抜くなど、かつての日本と同様に、油糧種子、穀物、畜産物などで、急激に国際競争力を弱めていることが確認された。ただし、これらの品目にとって貿易量はマージナルなものであり、自給率はいまだ極めて高い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
畜産経営の事例調査において中国に加え台湾、日本を含めて畜産経営および畜産物流通の実態、とりわけ疫病対策の実態を明らかにすることができ、さらに計量分析についても、予定していた品目別の貿易構造変化の分析を行い、一定の知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度には、構造分析の部分では大規模畜産経営だけでなく、零細経営も視野に入れて、文献調査やデータベースの分析を中心に、インテグレーションの展開状況、飼料穀物や食肉の国際市場とのリンケージの状況などに関する分析を進める。さらに、台湾、日本における畜産業の構造や家畜疾病対策を取り纏め、比較検討を行う。 計量分析については、貿易構造と中国国内の生産・消費をリンクさせた分析に取り組みたい。 前年度までの中国の農産物貿易戦略に関する研究と事例調査結果を踏まえて、構造分析と計量分析を統合して、今後の穀物の間接消費や食肉需給について展望する。また、各調査・研究の成果を学会などで公表する。
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