研究課題/領域番号 |
25450339
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
國光 洋二 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門地域資源工学研究領域, ユニット長 (30360390)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地域経済分析 / 社会資本整備の効果 / 地域活性化 / 動学地域応用一般均衡モデル / 政策シミュレーション / アセットマネジメント施策 / 地域間格差 |
研究実績の概要 |
地域別の農業生産基盤投資の動向やアセットマネジメント施策、100%農家負担による整備に関する政策シナリオを作成し、昨年度までに開発した,地域動学CGEモデルを用いてシミュレーション分析を行って,これら施策の導入によって引き起こされる農産物価格及び消費量の将来変化,さらには地域農業や日本経済全体に対する影響を定量的に明らかにした。 すなわち,①2010年以降に農業社会資本が減少し、地域経済の成長率を引き下げる要因となる。マイナス影響を緩和するため、アセットマネジメント施策による施設の長寿命化が有効であるが、農業社会資本の低下をアセットマネジメント施策のみで回避することは不可能である。②農業社会資本の減少を回避するため、農家の負担で必要投資額を確保する対策は、国民経済的には望ましいが、費用を負担する農業・食品部門の付加価値額でみると、農業社会資本の荒廃を放置する方が経済的に有利となる。③効果指標のうち、直接的な効果指標である生産者余剰による費用便益分析比より、消費者余剰やGDPによる費用便益比の方が大きな値を示す傾向がある。 また、農業生産基盤整備の投資効果は、産業が集積する都市地域の方が高くなる傾向があり、効率性のみを考えれば、都市近郊の農業水利施設の更新整備を優先的に実施すべきと言うことになるが、そのような地域配分は、地域間格差の拡大につながることから、効率性のみを考えた投資配分ではなく、地域経済の活性化やバランスの取れた国土開発の視点が重要であることを政策提言としてまとめた。 これらの分析結果を論文としてとりまとめ、査読付きの学会誌(地域学研究)に投稿するとともに、今後、国際学会での公表に向けて準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の成果を国際学会で発表する予定であったが、平成25年にタイ国で勃発したクーデターの影響により、発表予定の国際学会が延期され、平成28年度に開催されることとなった。 また、調査協力を得た茨城県常総市を一部受益とする霞ヶ浦用水土地改良区に、調査結果の報告を行う予定であったが、平成27年9月の洪水被害により、報告会の実施も平成28年度にずれ込んだ。このため、研究のとりまとめが若干遅れており、補助事業期間を延長して対応することとした。
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今後の研究の推進方策 |
残された研究期間中に、得られた結果を国際学会で発表するとともに、国際的なジャーナルに投稿し、研究成果の普及を図る予定である。 また、これまで調査に協力して頂いた土地改良区、農林水産省の関係部局、福島県の関係部局に、研究結果を報告するとともに、農業農村整備の投資戦略について意見交換を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の成果を国際学会で発表する予定であったが、平成25年にタイ国で勃発したクーデターの影響により、発表予定の国際学会が延期され、平成28年度に開催されることとなった。 また、調査協力を得た茨城県常総市を一部受益とする霞ヶ浦用水土地改良区に、調査結果の報告を行う予定であったが、平成27年9月の洪水被害により、報告会の実施も平成28年度にずれ込んだ。このため、研究のとりまとめが若干遅れており、補助事業期間を延長して対応することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度に開催される国際地域学会の大会に参加して、研究成果を報告し、学会参加者やチェアマンの意見を踏まえて国際ジャーナルに投稿し、研究成果をとりまとめる予定である。
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