研究課題/領域番号 |
25450346
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
辻 一成 佐賀大学, 農学部, 准教授 (00253518)
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研究分担者 |
坂田 正三 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター東南アジアII研究グループ, 研究グループ長 (90450519)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ベトナム / 農業の担い手 / チャンチャイ / 大規模私営農場 / 日本の農業投資 |
研究実績の概要 |
研究課題に関して,最終年度はベトナム農業の主要な担い手となるチャンチャイ(大規模私営農場)と日系企業等による現地での農業投資の実態調査を行い,成果のとりまとめを行った。 本研究の目的は,ベトナムの農業構造が大きく変化してきた過程を分析し,農業の担い手について今後の展望を明らかにすることであった。研究期間中,これまですでに明らかにした大規模稲作農業モデル(現地企業による農家の組織的統合)の実態分析に加え,チャンチャイ(大規模私営農場)及びベトナムにおける農業への海外投資拡大の状況に関して,現地調査を踏まえた分析ができたことは本研究の重要な意義である。なぜなら,このような実態調査はあまり進められて来なかったからである。 特に,最終年度の重要な成果として次の2点を上げることができる。 第1は,チャンチャイに関して,その立地は、土地条件や例えば市場からの距離など営農条件の点では相対的に不利である。その不利性を資本力や人脈など経営者能力にかかわる経営資源によって補っている。また,メコンデルタのチャンチャイでは,大規模での経営の複合化が進んている。畜産(肥育牛)とバナナとの複合,米とバナナとの複合,林業とバナナとの複合などである。そうしたチャンチャイの中には技術力の低さを補うため,海外から専門技術をもつ優秀な人材を雇用するなどの動きもみられる。 第2は,ベトナムでの日系企業の農業投資及びビジネス戦略に関して,これまでの日本及び国際市場への輸出に向けた原料農産物(1次加工品を含む)の調達目的から,近年はベトナム国内市場を主要なターゲットにして現地生産に取り組む事例が増加していることが明らかになった。
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