研究実績の概要 |
まず、フランスにおける薬用香料作物の現況について統計資料を収集分析した。フランスにおいて、2014年には3,649人の生産者が4万2,000haの薬用香料作物を生産している。そのうちラベンダーが2万haほどを占めている。生産者数は2010年の3,151人、生産面積は同年3万7,792haから安定的に増加している。ラベンダー生産者の平均面積は14.5haで安定している。その他の薬用香料作物では平均面積は7.5haである。また薬用香料作物の栽培面積の12%ほどが有機農業である。 次いで、フランスにおける薬用香料作物を活用した地域振興について、ツーリズムと巻レづけて、文献蒐集を行った。フランスでは州自然公園が農村ツーリズムの主な行き先の一つであり、フランスでは現在42ほどの州自然公園があり、そのうち25の公園で、薬用香料作物の生産が見られる。これらの公園は主としてフランス南部にあり、その理由は、薬用香料作物の生産条件によるものである。なおこうした薬用香料作物及びその製品の販売場所であるが、生産者による農場直売や直売所での販売が多い。Bauges自然公園の例を見ると、25%は農場直売、37%は直売所である。 フランスでの薬用香料作物の振興を行っている団体としては全国香水・薬草・香料作物保全協会CNPPMAがあり、この団体はパリ近郊の州ガティネ・フランセ自然公園に、薬草園を備えており、4月から10月まで、一般の観光客などを受け容れている。この薬草香料作物園には2,000種の作物があり、種子の販売も行われている。 このように、薬用香料作物を活用した、とりわけツーリズムを通じた地域振興の事例は我が国でも広範に導入することが期待されることであろう。
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