本研究では,過剰な土壌流出によってサンゴ等の生態系への影響が深刻な沖縄地方を対象として,不耕起栽培や堆肥の施用に伴う土壌・栄養塩・有機炭素流亡に着目した物質動態を現地観測,モデル化,そして数値シミュレーションによって定量的に評価した。農地における現地観測の結果,土壌・栄養塩・有機炭素流亡は農地の管理方法によって顕著に異なることが分かった。河川における観測を実施した結果,農地主体の流域では土壌・栄養塩・有機炭素の流出が顕著であった。流域スケールにおけるモデルを用いた解析の結果,不耕起栽培等の営農的対策が流出量削減のために有用であることがわかった。
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