景観が地域のすべての環境を反映したものであることから、その適切な評価には困難が伴う。すなわち景観に現れるすべての側面を評価する方法がない。景観に関する研究が進んでいる欧州では、いくつかの景観指標を組み合わせて、総合的に景観を評価しようとする動きがある。 欧州の多くの多くの地域計画や地域評価のプロジェクト、例えばENRISK(Environmental Risk Assessment of Agriculture in Europe)、 IRENA(Indicator Reporting on the Integration of Environmental Concerns into Agricultural Policy)、 ELCAI(the European Landscape Character Initiative)、 SPESP(Study Program on European Spatial Planning)などで、多くの景観指標が提案されている。 これらの景観指標は、5つのカテゴリーに分類されることが判明してきている(European Landscape Convention 2000)。その5つのカテゴリーとは、1. 生態系、2.歴史・文化、3.認知、4.土地利用、5.経済である。 また、それらの景観指標と景観の関係もいくつかに分類できることが分かってきている。すなわち、a.景観への負荷を表す指標、b.景観の状況を表す指標、c.景観への(あるいは景観からの)影響を表す指標、d.景観保全に対する対策の強さを表す指標などである。 本年は、Cassatella& Peano (2011)が推奨している11個の景観指標の組み合わせが、日本の景観を総合的に評価する際に用いることができるかどうかを三重県を例にとって検証を試みた。
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