研究課題/領域番号 |
25450358
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
大野 研 三重大学, 教養教育機構, 教授 (90144229)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 景観指標 / 地域計画 / 地域評価 / 景観管理 |
研究実績の概要 |
景観は、地域のすべての環境を反映したものである。したがって、地域の発展の持続可能性を検討する上では重要なテーマになる。しかし、景観に現れるすべての側面を評価することは困難である。景観に関する研究が進んでいる欧州では、いくつかの景観指標を組み合わせて、総合的に景観を評価しようとする動きがある。 英国では、総合的な景観評価手法の一つとして、景観観特性評価(LCA:Landscape Character Assessment)が提案され、2002年に評価手法のガイダンスが策定されて以来、着実に実施されてきている。そこで、そのLCA手法を津市に適用し、日本でもこの手法が応用可能かどうかを検討した。その結果、日本においては、英国においてほどはっきりとした特徴を持った景観特性エリアが存在するのかという疑問も生じたが、自然に各エリアの特徴を同定することができ、英国のLCA手法の適用可能性を示した。 また景観生態学の分野でも、様々な景観指標を用いて、総合的に景観の異質性を評価しようという動きがあり、数多くの景観指標が提案されて生きている。そこで、Hassett et. al. (2012) が提案した9つの景観指標の組み合わせで、津市の景観異質性の経年変化を検討した。1997年,1999年,2000年,2003年,2006年,2013年,2014年,2015年のLandsat衛星画像を用い、5クラス(市街地,森林,水域,草地,農用地)の土地被覆分類での景観異質性の変化を検討した。その結果、多くの景観指標で景観異質性の経年変化を追うことができた。しかし、Landsatの解像度では、津市スケールの景観変化を追うことができない景観指標も存在した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
欧州における景観指標に関する情報の収集がさらに進み、景観指標を組み合わせた景観評価の2つの手法を津市に対して適用し、その応用可能性を検討した。欧州ほどエリアごとの景観特性が明確でないこと、入手情報の解像度と解析対象のスケールのマッチングの問題などが判明したが、すでに検討したイタリアでの景観評価手法、英国での景観評価手法、景観生態学的な景観評価の方法、生態系サービスによる地域評価手法の利点と欠点が判明してきた。
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今後の研究の推進方策 |
イタリアでの景観評価手法、英国での景観評価手法、景観生態学的な景観評価の方法、生態系サービスによる地域評価手法の利点と欠点が判明してきたので、これらの手法を総合して日本における最適な景観評価手法を開発する。
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