最終年度には、多面的な景観指標と類似性が多い生態系サービス評価の日本への適用性の検討した。文献調査と海外調査にて、生態系サービスの評価が多面的な景観評価と類似性が高いことを発見したため、三重県の歴史的な生態系サービスの変化マップを作製した。 ミレニアム生態系評価において、生態系サービスは、供給サービス、調整サービス、文化的サービス、基盤サービスの4種類に分類された。そして英国を対象としたBateman et al.の研究では、基盤サービスを農業生産、調整サービスを温室効果ガス排出、文化的サービスをレクリエーション,基盤サービスを生物多様性で代表させている。そこで、三重県において上記の4種類のサービスの変化マップを作製した。その結果、この4種類の生態系サービスを同時に検討することは、イタリアで提案されている5つのカテゴリーに含まれる多面的景観指標を同時に検討することと類似度が大きく、この4種類のマップを同時に検討することで、景観の管理保全につながっていくことが確認できた。 研究期間全体を通じて、英国のLCA手法、イタリアで提案されている景観評価手法、生態系サービスによる環境評価手法の日本への適用可能性検討し、適用可能であると判断できた。そのため、今後、日本全国に対して英国のLCA手法を用いて地域のアイデティティマップを作成し、その後イタリアで提案されている景観指標の変化、または生態系サービスの変化を監視することで、農村景観の創造・保全につながっていくと思われる。
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