研究課題/領域番号 |
25450359
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
猪迫 耕二 鳥取大学, 農学部, 教授 (60243383)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | リーチング / 塩類集積 / 浸潤 / 溶質移動 |
研究概要 |
キャピラリーバリア(CB)単独使用による除塩・防塩効果が維持される土壌条件の明確化のために土壌における水分・塩分・熱の移動現象を再現できる数理モデルであるHYDRUS1Dを用いて数値実験を実施した.当初,土壌は砂土,砂質壌土,壌土,軽埴土を,キャピラリー層には礫を想定したが,壌土,軽埴土については数値計算を正常終了させることができなかったため,継続検討することとした.砂土,砂質壌土における数値実験では,CB層の存在によりCB層より上の作土層における含水量が飽和近傍まで増加すること,ならびに,下層からの毛管上昇を完全に遮断されることが確認できた.これらの効果は地下水の存在に左右されない結果となった. 数値実験で得られた結果を確認するために,恒温室内でカラム実験を実施し,キャピラリー存在下でのリーチング進行過程を精密に調査した.カラム実験では砂土と砂質壌土の2つの土壌について実験した.その結果,①キャピラリー層直上部の圧力水頭がが0㎝近傍まで大きくなると,キャピラリー層の浸透遮断効果が消失して下層への浸透が発生する,②直上部の圧力水頭ががやや低下すると再び遮断効果が発現し,上層の含水率は高いまま保持される,③さらに給水を継続すると再び遮断効果が消失し,浸透が生じる,ことが明らかとなった.このことから,リーチングによって高濃度塩水となった浸透水がキャピラリー層を流下した後に,低濃度の土壌水がキャピラリー層直上に保持されるメカニズムが明らかとなった.一方,下層からの毛管上昇については数値実験ほど完全に阻止できず,実験後に塩収支計算を行ったところ,CBなしの1/3ではあったが作土層への塩の供給が確認された.これは土壌を充填する際に,CB内に土壌が入りこんだためと思われた.現場での使用のためにはCB層の効果を最大化する充填方法を検討する必要があることが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
壌土ならびに軽埴土に対する数値実験が想定通りに進まなかったため,当初計画していた実験条件の探索が不十分な状態になった.さらに,数値実験に手間取ったため,模型実験の実施が遅れ,計画していた鉛直トンネル用の資材に対する物性値の測定を実施できなかった.
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今後の研究の推進方策 |
現在,2013年度中に実施できなかった鉛直トンネル用の物性値の計測を実施しており,早急に終了させる.数値実験については,使用するモデルを変更し,土壌水理パラメータの再測定を行って計画の遅れを取り戻す.また,平成26年度には本研究の新規性を担う重要な課題である鉛直排水トンネルによる除塩機能の解明を実施する.当初計画では,数値実験を先行させて模型実験で実証する予定であったが,2013年度のように数値実験に時間を要すると模型実験の実施が遅れる危険性があるため,数値実験と模型実験を同時進行させ,両者の成果をフィードバックしていく.
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