中国黄土高原のチェックダム農地(以下,農地)における塩類集積の実態およびその機構解明に取り組んだ。成果は以下のように要約される。 (1)塩類集積農地では,塩類集積が発生しない農地よりも地下水位が年間を通して高く維持される。(2)対象農地において塩害が下流に進行したことが確認された。排水路の水位上昇による農地の地下水位上昇が要因として考えられる。(3)同一流域内の農地を対象にした塩害実態調査の結果,塩類集積の発生場所は農地により異なることがわかった。いずれの農地においても排水のECが約2dS/mと高く,農地の造成過程において,上流からの流出土砂に含まれる塩類が水の蒸発で濃縮されることが示唆された。
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