本研究の目的は、マツカサガイの移送を明らかにすること、同種の生息に適した水路環境条件を明らかにすることである。 ほとんどの個体が移送される流速は約50cm/sであった。用水路底部において、このような流速が発生する場合は考えにくいことから、同種の生息環境条件の検討に個体移送の影響を考慮する必要はないと判断された。重回帰分析の結果、出現個体数に有意な負の相関が得られたものは組成割合[粗砂]、礫の被覆割合であった。具体的には、マツカサガイの生息に適した底質環境は、底質中の粗砂の割合が25~40%程度、水路床表面の礫の被覆割合が10%未満であることが明らかとなった。
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