農業水利施設における生物多様性のうち生態系多様性や種多様性を炭素・窒素安定同位体比とメタゲノムを用いて定量的に評価する可能性が確かめられた. 農業水利施設に生息する魚類個体群の炭素・窒素安定同位体比は,生息環境により分布特性が異なる傾向がみられた.多様な環境要素で構成される生息地ではばらつきが大きく,ばらつきは生態系の多様性を指標していると考えられた. メタゲノム解析は,従来からのクローニング法よりも検出能力が高く,種多様性の評価手法として利用可能であることが例証された.メタゲノム解析による生物群集推定は,種の多様性についての包括的情報を与え得る手法として,農業水利施設への適用が期待される
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