研究課題
ニチニチソウ着生葉においてビンブラスチンの縮合反応を促進させるためには少なくとも3.5W/m2のUV-A光を3日以上照射することが必要であることを見出してきた。今年度はさらにUV-A光の強度を高めて葉のビンブラスチン濃度を向上させられるかを検証した。葉面での受光のばらつきを防ぐために、若い完全展開葉からリーフディスクを作成し、照射面積のサイズを小さくしてサンプルとした。0, 1, 5および10 W/m2のUV-A光を150マイクロmol/m2/sの赤色光と混合して、リーフディスクにそれぞれ照射した。光強度が増すにつれ直線的に葉のビンブラスチン濃度は上昇した。10 W/m2照射下では500 マイクロg/gDWを示し、これまでで最も高い濃度を記録した。次に、葉齢がビンブラスチン濃度に及ぼす影響を調べるために、第2葉から第4葉までの葉位からリーフディスクを作成して5W/m2のUV-A光を150マイクロmol/m2/sの赤色光と混合して照射した。第2葉は下位に着生しており老化が進行した葉である。着生位置が上がるほど、すなわち葉齢が若いほどビンブラスチン濃度が高く、第4葉の濃度(400 マイクロg/gDW)は第2葉の濃度の4倍高かった。ニチニチソウ1株の上部からUV-A光を照射した時の全葉のビンブラスチン濃度は個葉レベルでUV-Aを照射したときの濃度よりも低いことが分かっている。老化が進行した葉のビンブラスチン縮合能力が若い葉のそれよりも低いために株全体の濃度が期待値よりも低下している、ということが明らかとなった。ニチニチソウは日本の自然環境下で栽培してもビンブラスチンを葉に蓄積できないが、UV-A光を1週間照射することで蓄積させられることが分かった。成長は、赤単色光で白色光や他の単色光よりも最も大となる。このことから赤単色光で育てて収穫1週前に10 W/m2のUV-A光を直上から照射することで生産効率を高められることが3年間の研究を通して明らかとすることができた。
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Environmental Control in Biology
巻: 53(4) ページ: 217-220
10.2525/ecb.53.217