研究実績の概要 |
植物工場における作物のモニタリングのために水耕液の経時的分析を行った。まずEC計測に替わるものとしてCE-C4D(キャピラリー電気泳動-非接触型電気伝導度検出器)を利用した主要無機イオンの測定系を確立した。これにより主要陽イオン(K, Ca, Mg, Na, アンモニウム)、陰イオン(硝酸、硫酸、リン酸)をそれぞれ3.5分、8.0分以内に検出することが可能となった。この測定系で太陽光型植物工場内のホウレンソウ循環水耕液のモニタリングを行ったところ、作物の成長が著しい定植後約2週間目以降の水耕液中のK, Mg, 硝酸、リン酸イオンは減少し(吸収量>供給量)、Ca、硫酸イオンは濃度が保たれた。本測定系により、より詳細な施肥条件の設定が可能になると考えられる。 根の滲出物のモニタリングでは、強い塩ストレス負荷時に、遊離アミノ酸量が増加し、発生ラジカル種量が減少することを実験室レベルの実験で確認したが、栽培条件で想定される弱いストレス下ではいずれも計測が困難であることが予想された。一方、水耕液の3D励起蛍光スペクトル測定では、ストレスにより蛍光強度が増加するスポットが存在し、その利用可能性が示唆された。
|