花き植物の光形態形成における環境対応力を解明して、花の色艶、形などの仕上げ時に照射する光の条件を明らかにすることを目的に研究を行った。 H26年度までに、花き植物として矮性化により商品価値の出る花き植物を用い、異なった色のLED発光照射に対する影響を調べた。ペチュニアでは、赤色LED光、青色LED光、混合光(赤:青=9:1)をそれぞれ照射して育成する3つの生育光環境で行った。他の環境に比べて、赤色LED光において、花および葉が成長することが確認された。また、試験開始2週間後のペチュニアのインダクション蛍光特性から、生育環境の違いが検出できることが確認できた。また、シクラメンについても、ペチュニアと同等の試験を行い、赤色LED光により花柄が伸びることを確認した。しかし、蛍光特性に大きな差は見られなかった。 H27年度には、栽培時のLED照射光が植物に与える影響を2段階の伝達関数で表すことを狙いとした研究を進めた。第1段階を植物が照射光の状態をどのように捉えているかの植物の状態検知とし、第2段階を植物が行っている内部反応を示すものとした。まず、第1段階を分光反射率特性のストレス指数から安定に評価できる見通しを得た。また、伝達関数の第2段階の特性については、紫外線励起の蛍光特性を定式化を進め、その特性を強調する手法を明確化した。このようにして、2段階の関係式を導くことが出来た。また、光照射装置についても、人工気象器用だけでなく、ハウス栽培用装置を完成させて、花の開花と環境について評価を進めた。 このように、分光反射特性と蛍光特性を利用することで、花き植物の非接触評価法について見通しが得られた。今後 実験データをさらに積み上げて花き植物に対する光照射条件の定量化を行い、結果を論文化する。
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