研究課題/領域番号 |
25450378
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
萩原 昌司 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品工学研究領域, 主任研究員 (00353970)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | BDF / 無触媒法 / 過熱メタノール蒸気法 / トリグリセリド / 遊離脂肪酸 |
研究概要 |
本研究では、過熱メタノール法でBFDを製造する際の投入エネルギー削減法を検討し、環境影響評価の指標となるCO2 排出量の削減を目指すものである。具体的に、原料油脂の改質(トリグリセリド(TG)を遊離脂肪酸(FFA)に分解する)処理によって脂肪酸メチルエステル(FAME)への反応効率を向上させ投入エネルギーの低減諮るとともに、反応槽内状況をCFD 流体解析で最適構造および操作条件を明らかにする。 25年度は、まず、油脂の変換状況をより迅速に分析する手法を確立した。これまで使用していた薄層クロマトは、再現性に課題がありTGとFAME等の判別も難しかった。ELSD検出器によるHPLC分析を用いることで各成分のピークの再現性が高く、各成分のピークも明確に分離できることが確認された。次に、種々の脂質を用いて過熱メタノール蒸気法による脂肪酸メチルエステルへの変換を行った。反応装置からの流出量は、TGではココナッツ油、ジャトロファ粗油高く、米油、菜種油、パーム油となった。また、FFAを主体するパームワックス(PFAD)はパーム油(TG)に比べ反応速度は格段に大きくなることが確認された。以上より、FFAを過熱エタノール蒸気法の原料として用いることで投入エネルギーの削減されることが示唆された。さらにCFD手法を用いてベンチスケール反応装置の反応槽内の油脂とメタノール蒸気の状況の可視化を試みた。CFDを3次元で計算させると、解析結果が得られるまで非常に時間を要するため、精度を落さずに解析時間を短縮する解析モデルの簡素化を検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H25年度は補正予算による実験施設の改修工事が行われ使用できない実験機器があり、加水分解の検討で予定していた高圧処理による加水分解の検討は実施できなかった。 また、海外調査地として最適な搾油施設が見つからなかったため、調整池に浮遊する脂質の分析も行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
原料脂質の改質処理に関しては引き続きa.加水分解による改質、b.酵素・触媒処理による改質、b.酵素・触媒処理による改質、d.過熱水蒸気処理、e.調整池からの回収等を検討する。 CFD解析に関しては解析モデルを確立し、解析結果をベンチスケール反応装置に反映させBDF 製造の反応実験で反応性を確認する。また、0.1MPa 以下の微少な加圧が、メタノール蒸気の分散状況に影響を与えるかに関してもCFD 解析し、反応実験によりその際の反応性も明らかにする。 原料油脂の改質および反応槽の改良、操作条件の最適化の影響が反応効率および投入エネルギーに与える影響を明らかにするため、ベンチスケール反応装置(反応槽内内滞留量約250 mL)による反応実験を行いBDF 製造時の消費エネルギー(熱量)を計測する。得られる消費エネルギーから、改良後の過熱メタノール蒸気法でのBDF 製造時の消費エネルギーや炭酸ガス排出量を算出しLCA 評価の際の基礎データを導き出す。
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次年度の研究費の使用計画 |
国内外の共同研究者と学会時に打合せを行うとともに、メール等を利用して情報交換を行った結果、出張に行くことなく必要な情報は入手できた。また、物品費等は入札等により効率的に予算執行を行った結果次年度執行額404,749円が生じたものである。 本研究課題の推進のため、次年度の研究費は交付申請時の計画通り使用する。なお、次年度使用額404,749円は研究費を効率的に使用して発生した残額であり、次年度請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
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