試料は上山市にて収穫されたラ・フランス果実とし,L(18個/5kg出荷箱),2L(16個)と3L(14個)の3階級とした。昨年までは現地にて低温にし,低温にて輸送後さらに実験室にて所定の期間まで低温処理を行った。現地から実験室までの輸送中の温度管理が困難なこと,また現地と実験室での低温処理環境を同一にすることが困難なため,本年は現地にて低温処理を完了後,実験室に到着後に直ちに追熟を開始した。追熟は12℃と16℃に設定した各恒温チャンバにより出荷箱の状態で行った。破壊測定は,毎日,各階級,各温度でそれぞれ2個,計12個の果実に対し質量,接触圧力分布,果肉硬度,糖度を測定した。接触圧力分布は,定盤の上に触覚センサを固定し果実の果頂部を下にして測定した。果肉硬度はφ8mmのプランジャにより,貫入速度1mm/s,貫入深さ7.95mmとした時の最大荷重とした。測定箇所は果径が最大となる赤道面上を3等分した3カ所とし,その平均をその果実の果肉硬度とした。触覚センサから得られた圧力分布より,最大圧力と接触エレメント数を求め,それぞれにエレメント面積を乗じて最大荷重,接触面積とした。さらにサイズの影響を除くため質量で除して,それぞれ比最大荷重,比接触面積とした。追熟日数の経過とともに比最大荷重は下降し,比接触面積は上昇したが,大きなバラツキが認められた。個々の果実の果肉硬度に対応する比最大荷重,比接触面積でそれぞれ線形回帰したが,果肉硬度の推定には至らなかった。また,各サイズのみで線形回帰したものと比較したところ,全サイズの方が決定係数が低下した。サイズ(質量)の影響を除く方法を再検討する必要がある。また,試料は接触センサと3~4カ所で接触しており,最大圧力となる1カ所のみでの検討だけではなく,他の個所での極大値を用いた検討も必要であり,さらにデータ解析を継続している。
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