研究課題/領域番号 |
25450388
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研究機関 | 阿南工業高等専門学校 |
研究代表者 |
福見 淳二 阿南工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30300627)
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研究分担者 |
福田 耕治 阿南工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40208955)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マルチコプター / 薬剤散布 / 経路生成 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、フェーズ2として小型マルチコプターの自律制御、グランドステーションとマルチコプター間の無線通信システムの構築および実際に飛行させての検証を行った。前年度に選定・購入した小型マルチコプターの調整を飛行実験を通して繰り返し行った結果、約2Kgの機材を搭載した状態での安定したホバリング、および搭載した無線通信システムを用いることでグランドステーションへカメラ映像の転送が実現でき、環境計測用途としての機体のベースとして使用できることを確認した。その結果、環境計測用機体の開発はほぼ完了した。 また、フェーズ3である複数のマルチコプターによる協調制御システムの基本となるカメラを用いた環境計測および画像情報を基にした散布機の経路生成手法の構築も進めた。今年度は、小型マイコンRaspberryPiとカメラを用いて撮影した圃場の画像から作物部分を抽出し、散布経路を生成するシステムを構築した。実機に搭載し実験した結果、提案するシステムで経路生成が可能であることが確認できた。しかしながら、圃場の状況によっては最適な散布経路を得ることが難しかった場合があり、さらなる改良が必要となる。 また、今年度は薬剤散布機の試作も行い、散布装置の小型化および散布ノズルの配置による地表面への散布状況の比較検証を行った。開発した散布装置を機体に搭載し地上約1mの位置に固定した状況で散布し、地表面での散布状況を感水紙を用いて確認した。その結果をもとに、ノズルの配置や角度の検証を今後進める予定である。 以上の平成26年度の研究成果を、第73回農業食料工学会年次大会および2014年度計測自動制御学会四国支部学術講演会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、予定していた「画像認識による圃場状況の計測システムの開発」および「自律制御システムの実装」を実施することができ、環境計測用機体のベースがほぼ完成し、搭載するシステムの構成も確定することができた。その結果、最終年度はソフトウェアの開発を中心に進めることができる状況となった。 ただし、昨年度予定していた薬剤散布機の仕様策定が平成26年度にずれ込んだため、平成26年度末に試作機が完成し、簡単な動作確認を行った状況である。そのため、平成27年度に散布状態の詳細な検証実験を実施する必要が生じるなど、薬剤散布機体の開発に関しては当初の予定より少し遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度で環境計測機体のハード的な開発がほぼ完了したことから、今後は画像処理システムやGPS等のセンサ情報に基づく自律航行システム等のソフトウェア中心に開発を進めていく予定である。また、薬剤散布機体の開発を進め、年度の前半には薬剤散布の検証実験を完了させ、2台の機体を用いた協調制御システムの構築を目指す。その際に、薬剤散布機体の開発と並行し、既に研究で使用した実績のあるARDroneを薬剤散布機に見立てた協調制御システムの開発も進め研究の効率化を図る。 現時点で生じた新たな課題としては、ドローンによる様々な事件・事故を受けて今後ドローンの運用に関する規制が強まると考えられる。そのため、実際の圃場での飛行実験を行う上で、規制をクリアするために必要な方策や法律に関する知識を習得する必要がある。これらの知識を得るためには、ドローンに関する様々な研究会などに参加し情報交換をする必要があると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成25年度に予定していた薬剤散布機体の選定及び購入が平成26年度にずれ込み、現在試作機体が完成した状況である。そのため本来であれば、平成26年度に機体改良のための部材費として計上していた当該助成金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
当該助成金は、薬剤散布機体の改良費として確保しているものであり、次年度に使用がずれ込んだが、当初の予定通り改良費用に全額を充てる。 翌年度分として請求した助成金は、予定通りの物品購入、旅費等に充てるため使用計画に関しては大きな変更はない。
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