平成27年度は、環境計測機に関して前年度開発した経路生成システムの改良を行った。従来の手法にHough変換を組み合わせ、圃場の畝を検出することで経路探索の効率化を図るシステムを構築し、屋外実験を行った結果、従来の手法では適切な経路が生成できなかった条件でも最適な経路が生成できており、提案するシステムの有効性が確認できた。このことから、協調制御に必要となる環境計測システムが構築できたが、実環境では作物の影の影響で誤動作する場合もあったため、今後の課題となっている。 次に、環境計測機とGroundStation(GS)を組み合わせた視覚フィードバック制御システムの構築を行った。本システムでは、環境計測機に搭載したカメラの映像をGSに送信し、カルマンフィルタを用いて薬剤散布機の位置検出を行う。検出した機体位置を基にPID制御により機体の位置決め制御を行うことで、両機体の協調制御を実現する。本システムの構築のため、GSから薬剤散布機を制御するシステムを開発し、屋内実験により動作確認を行い制御精度を検証した。その結果、無線送信の遅延時間等の影響で数十cmの位置誤差が見られたが、機体のサイズや薬剤散布作業の性質から運用上は特に問題にはならないと考えており、今後屋外実験での検証を進める。 薬剤散布機に関しては、開発した薬剤散布機の飛行実験を行い、散布状況の確認は済ませているが、最適な散布の実現にはノズルの位置・角度による散布範囲の検証が必要と考え、散布実験装置を製作し感水紙を用いた実験を行い散布範囲とノズル位置・角度との関係を検証した。また、薬剤散布に関するシミュレーションにも新たな課題として取り組んでいる。 今後は、各機体を組み合わせての圃場での実証実験を行う予定であるが、改正航空法の関係で圃場実験には申請が必要となる場合が想定されるため、現在実験場所に関して検討中である。
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