研究実績の概要 |
本研究では鶏の自発的摂食量が変動する時に視床下部と側脳室の摂食調節ペプチドがどのように変動するかを明らかにするために、脳微小透析法を鶏ヒナに適用して、NPY(Neuropeptide Y,摂食亢進作用を有する)とGLP-1(Glucagon-like peptide-1,摂食抑制作用を有する)を経時的にモニタリングすることを試みた.摂食量の変動に対応するペプチドの変動を明らかにする頃はできなかったが、側脳室から得た透析液中のNPYの濃度は数pg/ml、GLP-1の濃度は100から300pg/mlと推定できた。 透析膜素材(ポリアクリルまたはポリエチレン)、分画分子量(それぞれ100kDaまたは1000kDa)、プローブ外溶液(GLP-1;1000pg/ml(平成27年度)、NPY;2000pg/ml(平成26年度)、温度35℃)、潅流液(BSA0.15%含有リンゲル液)、潅流速度(1μL/分)の条件で得られた透析液を市販ニワトリGLP-1またはNPY ELISAキットで分析した結果、回収率は3%程度であった。 18日齢鶏ヒナに麻酔科でガイドカニューレを装着し、数日後透析プローブを挿入して、リンゲル液を潅流して透析液を得た.10時から19時まで透析プローブを装着した状態で1時間ごとに摂食量を記録した。この条件下でも自発的摂食量の日内変動を観察できた。透析液中NPYハ摂食量の変動に対応する変動を見いだすほどの定量性は得られなかった(平成25と26年度)。GLP-1(平成27年度)は定量できたが、摂食量の変動に伴う変動は見られなかった。 時間分解蛍光免疫測定法で透析液中GLP-1の定量を試みたが、本法による定量にはさらなる改良が必要であると考えられた(平成27年度)。
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