ウシやヒツジなどの反すう家畜に由来するメタン排出量は、全メタン排出量の15%を占めると推定されており、反すう家畜からのメタン排出削減は急務である。ルーメン内ではメタン生成菌が二酸化炭素と水素からメタンを生成し、そのメタンはゲップとなって排出される。従ってルーメンから排出されるメタンを抑制するためには、メタン生成を抑制する技術の開発が必要である。そのためにはメタン生成菌の特性について詳しく知る必要があるが、ルーメンに由来するメタン生成菌の分離菌株数は限られている。そこで本課題では、嫌気性真菌との共培養による新たなメタン生成菌の分離方法を用いて、新奇メタン生成菌の分離と菌株の収集とその特徴づけとゲノム解析を行うことを目的とした。 ウシルーメン液からメタン生成菌が付着した嫌気性真菌を培養した。その後、メタン生成菌のみを分離培養した。得られた菌株について同定を行った結果、26菌株(248株中)がメタン生成菌であった。各菌株の16S rDNA配列から、19菌株がMethanobrevibacter ruminantiumに、5菌株がMethanobrevibactger milleraeに、1菌株がMethanobrevibacter thaueriに、1菌株がMethanomicrobium mobileに分類された。これらの菌株すべてについて凍結保存した。 我々は米ぬかがメタン生成を抑制することを突き止めている。そこでこれらの菌種の増殖に対する米ぬかのエタノール可溶性分画の影響について調べた。米ぬか抽出物はM. mobileの増殖を抑制したが、M. thaueriの増殖には影響しなかった。同定できた4種の中からM. thaueriを選び、ゲノム解析を行った。
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