研究課題/領域番号 |
25450398
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
橘 哲也 愛媛大学, 農学部, 准教授 (80346832)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 畜産学 / 脳・神経 / 行動学 / 薬理学 / 栄養学 |
研究概要 |
本研究ではニワトリヒナの脳内摂食調節機構における成長ホルモン関連ペプチドの役割について調べることを目的としている。本研究では成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)とプロラクチン放出ペプチド(PrRP)を対象としているため、初年度にあたる本年度ではGHRHとPrRPを脳室内投与した後の摂食反応を調べた。 GHRHはGHRHとGHRH様ペプチド(GHRH-LP)が存在している。さらにGHRHはGHRH(1-27)とGHRH(1-47)、およびGHRH(1-27)のC末端がアミド化されたGHRH(1-27)アミドの3種類がある。そこで、4種のペプチドを合成し、それをヒナに脳室内投与した後の摂食量を測定したところ、いずれのペプチドもヒナの摂食行動を抑制することが明らかとなった。ただし、GHRH(1-27)の作用が他の3つよりも弱かったことから、GHRHの摂食抑制作用にはC末端側のアミノ酸配列、もしくはアミド化が必要であることが明らかとなった。さらに、内因性のGHRHと摂食調節の関係を明らかにするため、24時間絶食したヒナの間脳内GHRHおよびGHRH-LP mRNA発現量を調べたところ、GHRH-LP mRNAは増加する傾向に留まったものの、GHRH mRNAは有意に増加した。以上の結果から、内因性GHRHはヒナの摂食調節に関わっている可能性を示唆した。 PrRPの実験でも同様のペプチドを合成し、ヒナに脳室内投与する実験も実施した。アミノ酸20個からなるPrRPを合成して脳室内投与すると摂食量が増加することを見出した。ただし、PrRPも構成するアミノ酸によって数種類あると考えられており、その他のPrRPの作用については今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験環境も整い、予定通りに研究が進んでいるので、(2)おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
現在まで支障がなく研究が進んでいるので、以前に作成した研究計画に基づいて研究を進める。まず、PrRPをニワトリヒナに脳室内投与した後の摂食反応を調べ、ヒナにおけるPrRPの作用を特定する。この実験が終わった段階で次の段階に進む。 これまでの成果により、GHRHもPrRPも哺乳類とは正反対の作用を示している可能性が高いため、次にその摂食調節作用機序について調べる。まず、各ペプチドの脳内分布などに関する情報がほとんどないため、組織学的手法や分子生物学的手法を用いて各ペプチドの分布を明らかにする。さらに、他の摂食調節因子との関係を薬理学的および分子生物学的手法で調べ、各ペプチドの摂食調節作用に関わる摂食調節因子を特定するとともに、その摂食調節神経ネットワークを明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度ではペプチドの合成等や実験動物などに研究費を使用する予定だったが、それらが予定よりも安価に購入できたうえ、実験も順調に進んだため、予想よりも低予算で研究が遂行できた。本年度研究計画も十分に進行したと判断したため、次年度で実施する組織学的手法や分子生物学的手法を用いた研究にに予算を充てることとした。 次年度使用額は組織学的手法や分子生物学的手法を用いた研究の物品費として使用する予定である。次年度使用額が10万円程度であるので、消耗品の購入に充てる。
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