ニホンウズラの卵白に含まれるリゾチームには、アミノ酸置換を伴う一塩基多型が存在し、それが抗菌能力や孵化率の違いに影響することが確認されている。ただし、孵化率については1集団のみの結果であったため、再検証が必要であった。また、リゾチームはニホンウズラの生体内でも広く発現しており、自然免疫の1つとして働いていると考えられるため、リゾチーム多型による抗菌能力の差は増体量などの他の生産形質にも影響する可能性が示唆される。そこで、本研究では、このリゾチーム多型が遺伝的背景の異なる他のニホンウズラ集団でも孵化率に影響するのか、他の生産形質にも影響するのかを検討すること、抗菌能力についても他のグラム陽性菌で検討し、本遺伝的多型のさらなる重要性を検証する。 孵化率については、別のニホンウズラ集団を用いてリゾチーム多型による正逆交配家系を作成し、孵化率をF型とS型で比較した。その結果、統計的に有意ではなかった(P>0.05)ものの、S型の孵化率がF型よりも高くなった。孵化率がS型>F型となった結果は、我々が報告した以前の結果と一致しており、リゾチーム多型が孵化率の向上に貢献できる可能性を示唆していた。また、この結果を平成25年12月10日に名古屋市で開催された第1回ウズラ研究会で報告した。さらに、遺伝的背景の異なるニホンウズラ集団の種卵を導入し、その個体の遺伝子型判定をするとともにリゾチーム遺伝子の基礎集団の作成を行っている。
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