鳥類下垂体において発現する転写因子PREBの生理的段階における発現変化と名古屋種の系統における遺伝学的多型の存在し関して検討をおこなった。その結果、PREB遺伝子はPRLの生理的放出因子であるVIPの刺激下において発現が誘導されることが判明した。この発現は下垂体においてVIPの受容体が存在している時には強く認められるが、ほとんど発現していない時には見られないという結果が発生胚における下垂体を利用した実験のVIP受容体の定量により明らかにななった。発生胚の14日ではVIPによる発現誘導はPRL及びPREBともに見られないが、フォルスコリンによっては誘導が確認された。したがって、VIP受容体が発現していない状況においてもPREBあるいはPRLの発現に必要な最低限の機構は備わっており、PREBあるいはPit-1が発現増加していくことにより発生期のPRL上昇は誘導される可能性が高いことを明らかにした。また、名古屋種の各系統における多型解析をおこなったが、愛知県における名古屋種の複数の系統は最初に設立された系統から肉用あるいは卵用に選抜されていることを反映し、大きな系統間での多型頻度に差は見られなかった。このことからPREB遺伝子は就巣発現との関連性はほとんどないことが示された。
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