研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、日本の在来牛のウシMHC(BoLA)の調査を行い、牛白血病感受性/抵抗性ハプロタイプの起源を突き止める事を目的としている。そのために、ウシMHC領域の次世代シークエンサーを用いたリシークエンス法の確立に取り組んだ。研究をはじめるにあたり、黒毛和種の起源であり、日本の唯一の野生種である口之島牛のゲノムDNA、31頭分を入手した。これらのBoLA-DRB3遺伝子のタイピングを行ったところ、31頭中30頭がDRB3*0201ホモ型であり、残る1頭はDRB3*2801ホモ型であった。続いて、これらのサンプルのBoLA領域全長(クラスIIa、クラスIIIおよびクラスI領域、約5M塩基対)をリシークエンスするために、ELOVL5~ZFNまで、(chr23:25747834-30219379/bostau7)の配列をもとにプローブを合成し、Double Capture法にて口之島牛より作成したゲノムライブラリーからMHC領域をキャプチャーした後、MiSeqを用いてシークエンスを行った。得られたシークエンスをbostau7配列とアライメントしたが、クラスII領域の遺伝子配列の不備やアノテーション情報の欠落により、満足な結果を得ることが出来なかった。そこで、本年度は、アノテーション情報の少ないbostau7配列ではなく、現在広く用いられているUMD_3_1/bostau6ゲノム配列情報, BoLAのゲノムクローン配列情報(DQA2;W1およびDQB;Q1とY1)、そしてbostau7では染色体上にマップされていないが、DRB遺伝子を含む配列であると考えられるAAFC03005436および JH122295の塩基配列を基準にプローブを再設計し、BoLA領域のリシークエンス法の確立を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
口之島牛のゲノム配列の入手とBoLA-DRB3遺伝子タイピングは順調に進行した。また、次世代シークエンサーを用いたBoLA領域のリシークエンスも8頭の口之島牛を用いて実施され、実験条件が決定された。
本年度は、BoLA領域のリシークエンス法の確立を目指す。現在設計中のプローブの合成が終わり次第、所有する口之島牛31頭のBoLA領域のリシークエンスに着手する。得られたシークエンスデータの解析法の確立を本年度中に行い、最終年度での、他の品種のBoLA領域の解析とハプロタイプ構成の比較のための基盤を整える。
初年度において予定していたウシゲノムのリシークエンスを、31頭中8頭のみを用いて試験的に行ったところ、プローブの改善が必要となったため、プローブ再合成後に再度シークエンスを行う事とした。そのために初年度の予算の一部を次年度に繰り越した。現在、プローブの再合成を行っており、合成が終了した後、再度次世代シークエンサーを用いたBoLA領域のリシークエンスを行う。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Meta Gene
巻: 2 ページ: 176-190
10.1016/j.mgene.2013.12.005
Tissue Antigens
巻: 83 ページ: 180-183
doi: 10.1111/tan.12293
Front Microbiol
巻: 328 ページ: 1-11
10.3389/fmicb.2013.00328.