研究課題
口之島牛12頭、見島牛11頭および牛白血病感受性牛6頭を含む黒毛和種10頭のゲノムを収集し、Chr22のCNTN3遺伝子領域およびChr23のウシ主要組織適合遺伝子複合体(BoLA)領域の次世代シークエンサーを用いてリシークエンスした。得られたシークエンスデータを元に、主成分分析を行ったところ、見島牛・黒毛和種そして全ての口之島牛が属する群と、見島牛からなる群、2つの黒毛和種からなる群の4つの群に分類された。一方でChr22では遺伝子全体の結果とは異なり、見島牛(M-3)を除く全ての見島牛、口之島牛は同じ群に分類され、黒毛和種のみが見島牛/口之島牛の群のほかに3カ所に点在した。続いて、BoLAクラスI、クラスIIおよびクラスIIIに分けて主成分分析を行った。その結果、1)口之島牛の多様性が著しく失われていること、2)見島牛ではCNTN3領域の多様性は非常に低いが、MHC領域に関しては2つの群が存在しており、多様性が維持されていること、3)黒毛和種は口之島牛・見島牛に比べて多様性が高い事、が明らかとなった。さらに、牛白血病感受性遺伝子を有する黒毛和種6頭に着目すると、これら6頭の感受性牛が同じ群に分類されたのはBoLAクラスIIおよびクラスIII領域で、クラスIやCNTN領域は離れて位置していたことから、牛白血病感受性に関与する遺伝子領域はクラスIIおよびクラスIII領域に位置する事が強く示唆された。これら感受性牛が位置していた群には口之島牛および見島牛が含まれていることから、黒毛和種の白血病感受性に関与する遺伝子は、黒毛和種の祖先種より受け継がれてきた遺伝子である可能性が考えられる。一方、牛白血病抵抗性を示した2頭の黒毛和種はクラスIIのみ同じ群に属しており、他のどの品種とも似ていなかった。この事から、白血病抵抗性遺伝子は近年黒毛和種に導入された遺伝子である事が示唆された。
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