研究課題/領域番号 |
25450410
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
田中 智夫 麻布大学, 獣医学部, 教授 (40130893)
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研究分担者 |
植竹 勝治 麻布大学, 獣医学部, 教授 (00312083)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 動物管理・福祉 / 耕作放棄地 / 獣害対策 / 緬羊 |
研究実績の概要 |
本研究は、耕作放棄地を利用した緬羊の放牧について、過去に試験的に取り組んできた基礎的知見を踏まえ、緬羊による除草効果とそれに伴う景観保全だけでなく、子羊や羊肉の販売を見据えた生産体系の確立を目指し、耕作放棄地を農地として再生し、食糧自給率の向上も期待できる技術の開発を目的とする。 平成25年度の実施状況報告書に書いたとおり、初年度には現地飼育担当獣医師の逝去や種雄羊の死亡など、予期せぬ事態が重なって、予定していた実験計画は修正せざるを得なかった。平成26年度においては、修正後の計画に基づいて、①サフォーク種(以下S種)単独群と、S種とポールドーセット種(以下PD種)との混飼群の行動の比較調査、②防虫耳標による有害昆虫の防除効果の検討、および③放牧に伴う野生動物の出没状況の調査を行った。①では、S種のみの群に比べ、S種とPD種の混飼群では、食草時間が長く、立位休息時間が短いなど、各行動の発現割合に有意差(P<0.001)が認められた。なお、この結果は2015年3月に学会発表を行った(項目13に記載)。②では、ウシではすでに効果が報告されているぺルメトリン製剤入り耳標の装着により、非装着群に比べてサシバエ等の飛来・付着が有意に減少し、身震い等の行動も減少した。③では、初年度に比べて野生動物の出現が極端に少なく、緬羊放牧による野生動物の忌避効果が持続していたと考えられた。 また、成羊2頭と子羊23頭を販売することができ、徐々に販路の確保ができつつある。 なお、羊肉の加工品の試作とその品質の検討については依頼予定先の都合により、最終年度の課題として残された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度の実施状況報告書に書いたとおり、本研究開始直前にPD種において分娩トラブルによる淘汰個体が複数発生し、また現地の主導的な研究協力者の急逝などの不測の事態によって、初年度の計画を見直さざるを得なくなった。またそれに伴って、平成26年度の計画も当初計画とはやや異なるものとならざるを得なかった。したがって、全体の研究目的は変わらないものの、これまでの成果は当初の予定よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、前述の通り年度当初の計画がほぼ達成できたが、今年度も、①S種単独群と、S種とPD種との混飼群の行動の比較調査を継続するとともに、これまでできなかった②補助飼料給与時の飼槽の大きさや配置の検討、およびこれも課題として残された③羊肉加工品の試作と品質の検討について、今秋にS種とS×PD種の両方のハムを試作し、加工適性や製品の官能検査を行う予定である。 加えて、子羊および廃羊の生体販売の継続と、種雄候補羊の販売を行うとともに、羊肉の販路を開発し、中山間地域の耕作放棄地を利用した緬羊生産体系のモデルの確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述のとおり、26年度に予定していた羊肉加工ができなかったので、それに係る消耗品を購入しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年は秋に羊肉の加工とその評価を計画しているので、その際に使用する予定である。
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