本研究は、耕作放棄地を利用して、緬羊による除草効果とそれに伴う景観保全だけでなく、子緬羊や羊肉の販売を見据えた生産体系の確立を目指し、耕作放棄地を農地として再生し、食糧自給率の向上も期待できる技術の開発を目的とした。具体的には、放牧経験の有る個体を群れに加えることで放棄地への馴化が早まることや、活動的な品種を混飼することで群れ全体の摂食行動が活発になること、また放牧に伴って近隣農地への野生動物の出没が減少して農作物被害の軽減につながることなどを明らかにした。羊肉の加工適正の検討も行ったが、それらを行っている事業者に子羊を販売するなど、省力的な生産体制を選択することも方策のひとつと考えられた。
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