研究課題/領域番号 |
25450413
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
高山 喜晴 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所 畜産物研究領域, 主任研究員 (00343989)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 血管新生 / ラクトフェリン |
研究概要 |
1.ウシラクトフェリンおよびその断片(Nローブ・Cローブ)の血管新生に対する効果を評価するため、以下の実験をおこなった。ウシラクトフェリンをトリプシンで部分分解し、HPLCで精製することにより、Nローブ断片とCローブ断片を調製した。血管形成阻害効果を評価するモデルとして、ヒト線維芽細胞およびヒト血管内皮細胞をコラーゲンゲル内で共培養する系を使用した。このモデルに血管新生促進因子であるVEGF-Aを添加すると同時に、ウシラクトフェリン(全長)、Nローブ断片、Cローブ断片を最終濃度1~2μMで添加し、隔日に培養液を交換しながら、11日間培養した。細胞を固定後、形成された管腔を可視化するため、抗CD31抗体で免疫染色した。免疫染色された管腔を撮影した画像において、管腔ネットワークの総延長・管腔ネットワークを構成する分岐点の数(ジョイント数)・分岐点から分かれている枝の数(パス数)を計数することにより血管新生の程度を評価した。 2. VEGF-A非添加の状態では、ウシラクトフェリンおよびその断片(Nローブ・Cローブ)の血管新生に対する効果は認められなかった。ウシラクトフェリン(全長)およびCローブ断片は、VEGF-Aによる血管新生をほぼ同程度阻害した。一方、Nローブ断片の血管新生阻害効果は、Cローブ断片およびラクトフェリン全長と比較して著しく低かった。 3. 以上の結果から、Cローブがウシラクトフェリンの血管新生阻害効果を担っていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Cローブ断片が、ラクトフェリン全長とほぼ同程度の血管新生阻害効果を持つことが明らかとなった。これにより、血管新生阻害機能を持つウシラクトフェリンの部位を同定できたことから、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ウシラクトフェリン(全長)およびラクトフェリン断片の血管内皮細胞の遊走に対する効果を明らかにすると共に、血管内皮細胞をラクトフェリン(全長)・Nローブ断片・Cローブ断片で刺激した場合に活性化される細胞内情報伝達経路を比較することで、ラクトフェリンの血管新生阻害効果のメカニズムを明らかにしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
血管内皮細胞の遊走に対するラクトフェリンおよびラクトフェリン断片の効果の解析を次年度以降に繰り越したことから、次年度使用額が発生した。 26年度に血管内皮細胞の遊走に対するラクトフェリンおよびラクトフェリン断片の効果の解析を行う予定である。
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