研究課題/領域番号 |
25450414
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
野村 将 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所畜産物研究領域, 上席研究員 (80355065)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 乳酸菌 / 畜産物利用 / 牛乳 / プラスミノーゲン |
研究実績の概要 |
乳酸菌プラスミノーゲン活性化因子(PA活性)の分子同定のため、乳酸菌Lactococcus lactis subsp. lactis biovar diacetylactis NIAI C59株を、0.5%グルコースを添加したM17培地(GM17)を用いて継代培養を繰り返すことで、PA活性が低下した培養を得た。この培養物をGM17寒天培地に塗布して形成させた単コロニーを分離し、PA活性を示さない株(C59MN)を選択した。両者の全プラスミド画分を各種制限酵素で処理し0.8%アガロース電気泳動したところ、C59株に特異的なPstI断片(>10 kb)およびEcoRI断片(約8 kb)を見出した。両断片をpBluescriptに組み込んで大腸菌にクローニングし、塩基配列を解析した。両断片の制限酵素マップおよび部分塩基配列から、両断片は同一プラスミド由来であり、さらにPstI断片は該プラスミドの全長から成ることが明らかとなった。このPstI断片をプラスミドpC591と名付け全塩基配列を決定した結果、pC591は14,031bpから成り、L. lactis subsp. lactis IL594由来の既知プラスミドpIL2(8,277 bp)および未知プラスミドの両者の複製タンパク質repBが相同組換えで融合した形状であった。分子内に2つのrepB、2つのhsdS(自己DNAを守る制限修飾システムの認識サブユニット)、その他いくつかのORF様領域がコードされていた。また、pIL2由来のクエン酸パーミアーゼcitPはナンセンス変異によって短縮されていた。 また、乳酸菌PA活性が牛乳中プラスミノーゲンに及ぼす影響を明らかにするため、C59株およびC59MN株を用いてチーズ製造を行い、現在熟成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画ではPA活性を精製して分子同定する計画であったが、精製作業が難航したため同定が進んでいない。26年度にPA活性を示さない自然変異株が取得できたので、比較解析により活性分子の特定を進めることとした。また、PA活性が牛乳中プラスミノーゲンに及ぼす影響については、26年度にチーズの試験製造を行い、27年度に評価を行う。
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今後の研究の推進方策 |
PA活性を示すC59株と不活性のC59MN株を用いて比較解析を行い、PA活性分子の特定を進める。また、牛乳中プラスミノーゲンに及ぼす影響については、計画通りチーズ熟成への影響を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
乳酸菌PA活性因子の分子構造解析を外部へ委託する予定であったが、試料精製が難航し分子構造解析まで進まなかったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
PAの不活性変異株を取得したので、活性株と不活性株の比較解析を実施する予定であり、分析費用として活用する。
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