インフルエンザウイルスのHA蛋白質は16種類(H1-H16)の亜型に分類される。我々はこれまで、H1、H2、H3、H13およびH16亜型のウイルスに対して中和活性を示すモノクローナル抗体S139/1の作出に成功した。本研究では、計算科学的手法により、S139/1の分子認識機構を詳細に解析した。その結果、S139/1が中和活性を示す株において、S139/1と強く結合するHA上10箇所の残基位置を同定した。また、水素結合解析から、156、158、193番目の残基位置が特に重要であることが明らかになった。実際、これらの位置はS139/1のエスケープ変異実験で観測される変異位置と一致していた。
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