研究課題/領域番号 |
25450421
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 宏樹 東京大学, 医科学研究所, 助教 (50418654)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | イヌジステンパーウイルス / インターロイキン18 / リバースジェネティクス |
研究概要 |
組換えイヌジステンパーウイルス(CDV)を用いた2価ワクチンの免疫付与効率を増強するために、平成25年度はTh1誘導能をもつinterleukin (IL)-12およびIL-18の発現系の構築を試みた。 ConA刺激したイヌ抹消血のtotal RNAを用いてIL-18およびIL-12 p40サブユニットのクローニングを行なったが、単量体で機能する優位性を考慮しIL-18に焦点を絞り研究を進めた。 IL-18は前駆型の全長蛋白を発現しても細胞外へ分泌されず、成熟型IL-18に他の蛋白の分泌シグナル配列を付加することで細胞外へ分泌されることが知られており、イヌIL-18はIL12 p40シグナル配列の付加によって分泌効率が上昇する事が報告されている。そこで、哺乳類発現プラスミドに、全長IL-18, IL12 p40シグナル配列付加IL-18, および一般的に汎用されているヒトIL-2シグナル配列付加IL-18(hIL2ss-cIL18)をそれぞれ挿入し、分泌効率を測定した。その結果、ヒトIL-2シグナル配列が最も分泌効率が高いことが判明した。 そこで、この組換え遺伝子を用いてイヌIL18を産生する組換えCDVの作出を試みた。hIL2ss-cIL18遺伝子にCDV転写ユニット配列を連結し、CDVウイルスゲノム全長cDNAのN遺伝子とP遺伝子の間に挿入した。この組換えウイルスゲノムcDNAをコードするプラスミドを用いて、常法に従ってリバースジェネティクスを行った。その結果、組換えCDVの作出に成功した。このウイルスからのIL-18の分泌能を同様に測定したところ、親CDVおよび全長IL-18発現CDVに比べて著しくIL-18を分泌することが確認された(論文投稿中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、イヌIL-12の2つのサブユニットをそれぞれクローニングしIRESで連結した発現系も構築する予定だったが、単量体で機能するIL-18を中心に研究を進める事にした。結果としてヒトIL2シグナル配列を付加する事で高効率にIL-18を分泌する系を確立することができた。 さらに、この組換え遺伝子をコードするCDVのリバースジェネティクスを行ない、IL-18を産生する組換えCDVを作出することができた。 当初の研究計画における平成25年度の内容はおおむね達成することができた。 特に、既報にあるイヌIL12 p40シグナル配列に比べ、ヒトIL2シグナル配列が著しくIL18の分泌効率を上昇させることを明らかにしたことは、予想外の成果であった。 ヒトIL2シグナル配列は活性を示す動物種域が広いことから、宿主域の広いCDVの研究においても有効であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
高効率にIL-18を産生する組換えCDVの作出に成功したことから、今後は当初の予定通り動物実験による有用性の検討を進める予定である。 マウス及びマウス感受性リーシュマニアを用いた動物実験を推進すると同時に、イヌでのワクチン試験を行なえる目処が立ったため、イヌでの試験も前倒しで行なう予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
諸経費を合算した結果、端数が生じたため。 小額のため、次年度にそのまま持ち越して使用する。
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