研究課題
本研究課題は、以前我々が作出したリーシュマニア抗原LACK発現組換えイヌジステンパーウイルス(rCDV-LACK)の効果を増強するために、Th1誘導型サイトカイン発現CDVを作出し、サイトカインアジュバントとして使用することで、これまで不可能であった有効な抗リーシュマニアワクチンの開発を目指すものである。前年度までに活性型イヌIL-18およびマウスIL-18を産生する組換えCDVの作出に成功し、またイヌを用いたリーシュマニア攻撃試験で再現性よい結果を得られることが確認された。そこで本年度は予備試験として、マウスを用いたリーシュマニア攻撃試験を行った。ところが、当初の予想に反してIL-18発現組換えCDVとrCDV-LACKの共投与において、非接種群と比較して症状の増悪がみられた。そのため、当初の予定を変更し、他のリーシュマニア抗原を発現する組換えCDVの単体または混合接種によるワクチン効果の評価を行うこととした。これまでワクチン効果を示す報告のあるリーシュマニア抗原の中から、TSAとLmSTI1を選択し、それぞれを発現する組換えCDVの作出を試み、成功した。これら組換えCDVを、1群2頭ずつ単体接種またはrCDV-LACKを含む三種混合接種を行い、リーシュマニア攻撃試験を行った。その結果、これら新規組換えCDVは単体では抗リーシュマニア効果を示さなかった一方、三種混合投与ではrCDV-LACK単体投与に比べて明らかに皮膚潰瘍のサイズの減少がみられた。特に、rCDV-LACK単体では潰瘍の抑制効果の一方で潰瘍が消失するまでの期間の遅延がみられたが、三種混合接種では明らかな治癒の期間の短縮も確認された。これらの結果から、複数のリーシュマニア抗原の混合接種が最もワクチン効果を示すことが明らかになった(Miura et al., 2015)。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)
PLoS Negl Trop Dis
巻: 9(7) ページ: e003914
10.1371/journal.pntd.0003914.