研究課題/領域番号 |
25450423
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
杉山 晶彦 鳥取大学, 農学部, 准教授 (00432609)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 胎盤毒性 / メトトレキサート / 細胞死 |
研究概要 |
申請者はこれまでの研究により、妊娠11-12日のラットに対する葉酸代謝拮抗剤Methotrexate (MTX)の曝露が胎盤基底層の重度の低形成を惹起し、当該病変領域では細胞死の増加が誘発されることが明らかにした。今回はアポトーシス誘発に着眼したMethotrexate (MTX)の胎盤毒性発現機構の解明を目的とし、妊娠11-12日のMTX曝露によって誘発された胎盤基底層の低形成病変において認められた細胞死の発生機序に、①Fasが作用するextrinsic pathway (デスレセプター径路)、②Baxが作用するintrinsic pathway (ミトコンドリア径路)が関与するか否かを検索した。具体的には①胎盤基底層構成細胞におけるFasおよびBax蛋白の発現率の経時的変化 (免疫組織化学法およびWestern blot法による)、②胎盤基底層組織におけるFasおよびBax m-RNA量の経時的変化 (リアルタイムPCR法による)、③TUNEL陽性細胞の存在率の経時的変化を検索した。その結果、胎盤基底層におけるTUNEL陽性細胞 (アポトーシス細胞)の増加に先立って、FasおよびBax蛋白・遺伝子の発現が上昇していることが確認された。すなわち、妊娠11-12日のMTX曝露によって誘発された胎盤基底層の低形成病変において認められた細胞死の発生機序に、①Fasが作用するextrinsic pathway (デスレセプター径路)、②Baxが作用するintrinsic pathway (ミトコンドリア径路)が関与していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、1)MTXの胎盤毒性におけるアポトーシス関連因子 (Fas、Bax)発現の関与の解明、2)MTXの胎盤毒性における細胞周期制御因子 (p21Cip1、p27Kip1、p16INK4a)発現の関与の解明、3)MTXの胎盤毒性におけるp53活性化の関与の解明の3つの研究を実施する予定であったが、遺伝子解析おける進展状況が芳しくなかっため、当初予定していた3つの研究のうち、1つの研究しか実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、下記項目に関する研究を実施する。 1)MTXの胎盤毒性における細胞周期制御因子発現の関与の解明 胎盤基底層構成細胞における①細胞周期制御因子蛋白およびm-RNA量の発現率の経時的変化、③M期 (細胞分裂期)のマーカー陽性細胞の存在率の経時的変化 を検索し、Phospho-Histone H3陽性細胞の増加に先立って、細胞周期促進因子蛋白・遺伝子の発現が上昇するか否かを解析する。 2)MTXの胎盤毒性におけるp53活性化の関与の解明 MTXによる胎盤基底層の低形成病変におけるアポトーシス及び細胞周期停止の誘発にp53遺伝子・蛋白の発現増加やリン酸化が関与するか否を解析する。
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