研究実績の概要 |
最終年度で得られた成果は以下の通りである。 1.前年度に見いだされたコンパウンドXの国内特許出願(特願2015-116140号)を終了し、また合成スキームを確立した。現在、科学技術振興機構での採択・支援のもと、国際特許出願準備中である。 2.前年度で見いだされたアルツハイマー病モデル(A-beta脳室内投与マウスおよび遺伝子改変マウス)でのGAPDH凝集体とのクロスシード仮説をin vitroとin vivoで証明し、学術論文に掲載された(J.Biol.Chem., 2015, 290, pp.14493-14503)。またコンパウンドXのシードペプチドに関する先願特許(特開2013-241402号)が公開となったことから、GAI-1に関するGAPDH凝集阻害ペプチドに関する学術論文を出版した(Biochem. Biophys. Res. Commun, 2015, 467, pp. 373-376)。 3.前年度、アルツハイマー病モデルに加えマウス脳卒中モデルでのGAPDH凝集阻害による神経細胞死保護効果を立証したが、そのメカニズムを更に検討し、GAPDH凝集体がミトコンドリア外膜電位依存性陰イオンチャンネル孔を開口させることでミトコンドリア機能障害を誘導することを、in vitroおよびin vivoで明らにした(論文投稿準備中)。また、GAI-1の発想に至ったGAPDHドミナントネガティブ分子の細胞レベルでの神経細胞保護効果を明らかにし、学術論文に出版した(Nitric Oxide-Biology and Chemistry, 2016, 53, pp.13-21)。さらに、GAPDH凝集と別の細胞死パスウェイであるGAPDH核移行に関して、核蛋白質であるPARP-1を活性化することで神経細胞死を招来することを、in vitorとin vivoで証明し、学術論文に掲載された(J.Biol.Chem., 2015, 290, pp.14493-14503)。 本補助金により、世界初の新規非ペプチド性GAPDH凝集阻害剤の発明に成功し、またGAPDHカスケードにおける酸化ストレス性神経細胞死機序が解明された。
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