研究課題/領域番号 |
25450430
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
筏井 宏実 北里大学, 獣医学部, 准教授 (80327460)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | オーシスト / マラリア原虫 / 遺伝子欠損原虫 |
研究概要 |
マラリアは蚊によって媒介され、年間約200万人もの人が死亡する世界で最も重要な感染症の一つである。マラリア征圧に向けた戦略として:①抗原虫薬開発、②抗原虫ワクチン開発、③媒介蚊の撲滅もしくは数的コントロールなど、様々な対策が講じられてきた。しかしながら、薬剤耐性原虫株や殺虫剤耐性媒介蚊が出現するなど、現在もその予防法や治療法は確立されていない。また、新征圧戦略構築を基盤としたワクチンおよび新規抗原虫薬開発には、マラリア原虫の新たな生物学的特徴を分子レベルで明らかにする事が必要不可欠である。 そこで本研究は、未だ生物学的特徴が分子レベルで理解されていないオーシスト形成機構の解明を本研究の目的とした。 ネズミマラリア(Plasmodium berghei)原虫のオーシスト構成蛋白質の探索をデーターベースを用いてin silico解析した。得られた8つの候補遺伝子について、抗ペプチド抗体を作製した。これらの抗体を蛍光抗体染色法でP. berghei感染蚊中腸内オーシストと反応させた結果、7つの抗ペプチド抗体がオーシスト内スポロゾイトやオーシスト壁と反応した。これら蛋白質がオーシスト形成に必須であるか評価するために、遺伝子欠損ネズミマラリア原虫(KO原虫)の作製し、媒介蚊を用いたオーシスト形成試験を試みている。現在は、2つの遺伝子についてKO原虫の作製ができた。その内の一つの遺伝子KO原虫はオーシスト形成数が有為に減少し、オーシスト形成必須蛋白質である事が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子欠損ネズミマラリア原虫(KO原虫)の作製に多少手間取ったが、順調にKO原虫が作製されるようになった。また、安定した媒介蚊数を確保できる飼育環境を整えて媒介蚊を用いたオーシスト形成試験も出来る様になったため。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画に基づいて、残りの遺伝子についても遺伝子欠損ネズミマラリア原虫の作製、mRNAおよび蛋白質発現動態解析、蛋白質相互作用解析等の検討を行ない、オーシスト形成機構の解明に向けて研究を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度の研究計画の遺伝子欠損原虫作製に時間がかかり、消耗品費等の使用開始時期が遅くなったため。 遺伝子欠損原虫作製を順次推進しており、次年度使用額は翌年度分として請求したものと合わせて消耗品費として使用する。
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