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2014 年度 実施状況報告書

豚コロナウイルスの病原性発現への宿主プロテアーゼの関与

研究課題

研究課題/領域番号 25450431
研究機関日本獣医生命科学大学

研究代表者

田口 文広  日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (30107429)

研究分担者 氏家 誠  日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (50415478)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード豚コロナウイルス / TGEV / PRCV / プロテアーゼ / 組織親和性 / 病原性発現
研究実績の概要

豚コロナウイルスである豚伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)は消化器官に親和性、病原性を示し、TGEVからの変異で出現したと考えられる豚呼吸器コロナウイルス(PRCV)は、腸管病原性がなく、むしろ呼吸器に親和性を示し、弱い呼吸器疾患を引き起こすことが報告されている。TGEVと比べPRCVのスパイク(S)遺伝子は大きな欠損があり、その欠損が組織親和性、病原性の相違ではないかと考えられている。即ち、TGEVのS蛋白は腸管内酵素により活性化され、感染性や組織障害性が上昇するが、一方PRCVのS蛋白はそのような性質を欠損する可能性がある。我々はこの仮説を検証するため、昨年はトリプシン、キモトリプシンなど消化器に存在するプロテアーゼによるウイルスの感染増強を比較したが、両ウイルス間で差異は認められなかった。本年は、消化管の主なプロテアーゼであるパンクレアチンの両ウイルスに対する増殖性増強及び感受性差異について検討した。その結果、両ウイルスともパクレアチン存在下でのウイルス増殖は殆ど増強されることはなく、また、抑制されることはなかった。一方、様々な濃度のパンクレアチン処理によるウイルス感染性の低下も両ウイルスで差異がなく、パンクレアチンによる不活化が病原性発現の原因となる可能性もないと思われた。本年度行ったパンクレアチンと昨年度行ったトリプシン等を実験結果から、TGEVの腸管親和性とPRCVの呼吸器親和性は、腸管に存在するプロテアーゼによって決定されているものではないことが示唆された。PRCVはTGEVと比較して、培養細胞に対する細胞毒性が有為に低く、動物でも違う組織親和性を示すのではなく、単に培養細胞と同様の現象がおこっているだけなのかもしれない。このことは、動物を用いて初めて検証できることであり、今後の課題である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

引き続き他のプロテアーゼによる両ウイルスの活性化を検討するとともに、当初、予測していたのとは全く別の機構により、TGEVとPRCVの病原性が決まっている可能性も考えられ、別の角度からの解析も必要となる。

今後の研究の推進方策

腸管および呼吸器系で生理活性を示す他のプロテアーゼによる両ウイルスの活性化を見ると共に、TGEVとPRCVの組織親和性と病原性の違いは、単にTGEVの遺伝子欠損や変異によりPRCVが病原性を失った可能性を検討するためには、動物実験が必要であり、既に報告されている両ウイルスの受容体である豚アミノペプチダーゼNを発現するトランスジェニックマウスを用いて解析する必要がある。

次年度使用額が生じた理由

次年度の物品費として使用する。

次年度使用額の使用計画

平成27年の物品費の一部として使用する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Establishment of a panel of in-house polyclonal antibodies for the diagnosis of enterovirus infections.2015

    • 著者名/発表者名
      Kotani O, Iwata-Yoshikawa N, Suzuki T, Sato Y, Nakajima N, Koike S, Iwasaki T, Sata T, Yamashita T, Minagawa H, Taguchi F, Hasegawa H, Shimizu H, Nagata N.
    • 雑誌名

      Neuropathology

      巻: 35 ページ: 107-1

    • DOI

      doi: 10.1111/neup.12171.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Possible involvement of infection with human coronavirus 229E, but not NL63, in Kawasaki disease.2014

    • 著者名/発表者名
      Shirato K, Imada Y, Kawase M, Nakagaki N, Matsuyama S, Taguchi F
    • 雑誌名

      J Med. Virol

      巻: 86 ページ: 2146-2153

    • DOI

      10.1002/jmv

    • 査読あり
  • [学会発表] Baculovirusを用いた牛Torovirus の 可溶性Hemaggultinin-Esterase protein の発現2014

    • 著者名/発表者名
      河内健吾、氏家誠、谷 英樹、森川茂、田口文広
    • 学会等名
      第62回日本ウイルス学会総
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2014-11-10 – 2014-11-12
  • [学会発表] ウシトロウイルスN蛋白質の核移行に関する研究2014

    • 著者名/発表者名
      氏家誠、河内悠華子、八木ことえ、田口文広
    • 学会等名
      第62回日本ウイルス学会総会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2014-11-10 – 2014-11-12
  • [学会発表] Emergency and re-emergency of human and animal diseases caused by coronaviruses: SARS, MERS and PED2014

    • 著者名/発表者名
      Fumihiro Taguchi
    • 学会等名
      第62回日本ウイルス学会総会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2014-11-10 – 2014-11-12
    • 招待講演
  • [学会発表] ウシトロウイルスS蛋白質の細胞質内領域の細胞内輸送における役割2014

    • 著者名/発表者名
      氏家誠、田口文広
    • 学会等名
      第157回日本獣医学会学術集会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2014-09-09 – 2014-09-12

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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