研究課題/領域番号 |
25450436
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
松林 誠 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所 細菌・寄生虫研究領域, 主任研究員 (00321076)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Eimeria tenella / ミトコンドリア / エネルギー代謝 / コクシジウム |
研究実績の概要 |
鶏コクシジウムは鶏の消化管に寄生し、分化増殖過程で粘膜を著しく破壊する。その結果、感染鶏は下痢を呈し、増体率の著しい低下、そして重症例では血便を呈し、死に至る。現行の抗コクシジウム剤は予防薬として飼料に添加されるが、生産物への薬剤残留問題から、その使用は厳しく制限されている。本研究では、原虫特異的に作用する新規抗コクシジウム剤の開発を目指し、解析を進めている。昨年度の解析により、形態学的およびトランスクリプトーム解析により、コクシジウム原虫は、機能性を示唆するミトコンドリアを有することが確認できた。そこで、本年度は、タンパク質レベルでその性状を明らかにするため、原虫ミトコンドリアの精製方法の確立を目指した。既報のホモジナイザーによる破砕では、精製効率が悪いことが分かった。結果として、N2 キャビテーションによる破砕が最も効率が良く、そして吸光度変化により、ミトコンドリアの酵素活性を詳細に測定することに成功した。精製したミトコンドリアは、4℃での保存では48時間でその活性が3割低下するが、グリセロール添加-80℃保存では比較的保持されることが分かった。今回確立したin vitro の解析系は、Eimeria 原虫の薬剤開発に繋がる呼吸鎖代謝経路の解明に有用であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
原虫ミトコンドリアの精製方法を確立できた。これにより、in vitro 酵素活性の測定系を構築でき、今後、原虫ミトコンドリアの性状解析や化合物による阻害試験を実施することが可能となったため。
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今後の研究の推進方策 |
原虫ミトコンドリアの性状解析や化合物による阻害試験を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度解析を行った原虫のミトコンドリア精製方法の確立について、再現性を確認するための実験が予定より遅れました。結果として、測定系の構築に成功しましたが、その結果、酵素活性の測定の1部を次年度に実施することになったためです。
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次年度使用額の使用計画 |
化合物を用いて、原虫のミトコンドリア酵素活性阻害効果を計測する。
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