研究課題
鶏コクシジウム症の制圧は、鶏畜産物の生産現場において、重要な課題である。鶏が本原虫に感染した場合、水様性、血様性の下痢症を呈し、肥育高率の低下、産卵率の低下をきたす。現在使用されている抗コクシジウム剤は、薬剤残留問題および投与鶏への副作用等から、厳しい制限が設けられている。本研究では、安全でより確実に原虫感染を阻止できる新規薬剤の開発を目指した。これまでに鶏コクシジウムの中で最も病原性の高いE. tenella について、ミトコンドリア精製方法の確立および酵素活性測定系を構築することができた。本年度は、この測定系を用いて、各種化合物の阻害効果を解析した。これまでにミトコンドリア呼吸鎖を阻害することが知られている各種化合物を用いて、in vitro でE. tenella ミトコンドリアに対する阻害効果を調べたところ、いくつかの化合物で呼吸鎖活性の阻害が確認できた。また、侵入型虫体を精製し、これらの化合物での殺滅効果を解析した結果、μM のオーダーで殺虫効果がみられた。今回確立した解析系、および酵素活性の阻害および殺虫効果が確認できた化合物は、Eimeria 属原虫の新規薬剤開発に繋がる呼吸鎖代謝経路の解明および新規シード化合物の薬剤スクリーニングに有用であると考えられた。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件)
Acta Parasitologica
巻: 62(1) ページ: 214-220
10.1515/ap-2017-0026.
Parasitology Research
巻: 115(11) ページ: 4123-4128