研究課題/領域番号 |
25450443
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
谷 健二 山口大学, 獣医学部, 准教授 (00365420)
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研究分担者 |
田浦 保穂 山口大学, 獣医学部, 教授 (80163153)
山本 直樹 山口大学, 大学教育機構, 講師 (90448283)
仲澤 宏 山口大学, 獣医学部, 助教 (90604992) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ICGクリアランス / 慢性肝炎 / 犬 / 骨髄間質細胞 / 肝機能検査 / 肝線維症 / 移植 |
研究実績の概要 |
犬慢性肝障害に対する犬骨髄間質細胞移植の治療的効果を検討するために、犬肝炎モデルの作成ならびに肝障害の客観的評価法を確立した。犬に四塩化炭素(CCl4)を長期的に投与しCCl4が犬の肝臓に及ぼす影響を多角的・継時的に評価した。CCl4投与後は、食欲減退、体重減少、活動性低下、黄疸などの臨床症状がみられた。CCl4誘導性肝障害モデル犬では、ヒトの慢性肝炎に類似した病態を示すことが示唆された。また腹腔鏡下の肝表面像所見は特に肝組織線維化と強い相関が認められたことから、これらの検査は慢性肝炎自然発症例に対する診断に有用である可能性が示唆された。一方で、CCl4誘導性肝障害モデル犬では全身症状が強く発現することがあり、実験から除外せざるを得ない状況も存在した。そこで、H25年度後半から、全身症状を伴わない、再現性の高い犬の慢性肝疾患モデルを作製するために、犬に部分胆管結紮(BDL)を行い、肝臓に及ぼす影響について評価した。BDL肝葉では炎症細胞の浸潤、線維化が確認されたが、BDL肝葉の容積は著しく減少しており、肝線維症や肝硬変とは異なる病態を示すことから、犬におけるBDLは肝線維症モデルとしては不適切だと思われた。非BDL肝葉では、肝臓の代償機構を反映し、容積が増大していたが、肝臓全体としての機能は低下していることが明らかになった。これらのことから、部分胆管結紮や肝内結石による胆管閉塞など特定の肝葉が障害された場合の悪影響は肝臓全体に及ぶ可能性が示唆された。これら慢性肝炎モデル犬の作製を通じて、病理組織像と相関する所見は腹腔鏡下観察であり犬の肝臓評価に有用であることが示唆され、ICGクリアランス試験は、犬の肝機能を評価する感度の高い検査であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H26年度の成果として、おおむね良好な成果が得られた。 肝障害の程度を、肝線維化の範囲を定量するだけでなく、ICGクリアランス試験という新たなパラメーターが付与され、より多角的に肝臓を評価できるようになった。すでに、四塩化炭素誘導性慢性肝障害モデル犬に対して、骨髄間質細胞を移植しデータが揃いつつある。 また、慢性肝炎モデルとして部分胆管結紮犬を作製し、胆管結紮された肝葉を精査したところ、線維化の進行というよりは、むしろ肝小葉の脱落・萎縮が主な病態であることを明らかにした。これらの事実はマウスラットでは解明しきれていない内容であり、犬肝疾患の病態解明に貢献し得ると思われた。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度の成果として、おおむね良好な成果が得られたことから、研究最終年度も予定通り進めていく。
すでに、四塩化炭素誘導性慢性肝障害モデル犬に対して、骨髄間質細胞を移植しデータが揃いつつあり、データ解析を急ぐ。
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次年度使用額が生じた理由 |
ELISAキット購入予定であったが、海外輸入かつ消費期限が短期間であり、年度を越えてから使用しなければならなくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
H27年度は予定通り、ELISA測定キットを購入する。また、一部実験の追加のためにウェスタンブロット検査系を確立する
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