• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

ウシ乳腺組織で産生される副甲状腺ホルモン関連タンパク質と低カルシウム血症の関係

研究課題

研究課題/領域番号 25450457
研究種目

基盤研究(C)

研究機関麻布大学

研究代表者

恩田 賢  麻布大学, 獣医学部, 准教授 (70308302)

研究分担者 佐藤 礼一郎  麻布大学, 獣医学部, 助教 (00582826)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードPTHrP / 乳腺 / 牛 / 泌乳 / 低カルシウム血症
研究概要

申請時に既に開始していた分娩後の牛乳汁中PTHrP濃度の変化について実験を進め、結果の一部を2013年7月にADSA-ASAS Joint Annual Meeting 2013 (Indianapolis, Indiana, USA)で報告し、さらに2014年、Livestock Scienceにpublicationする事が出来た(Sato et al. Changes in parathyroid hormone-related protein concentrations in bovine milk from the early stage of lactation. Livestock Science 2014, 159: 117-122)。この実験で、初産牛と経産牛の乳汁を分娩21日目まで採取しPTHrP濃度比較したところ、分娩後3日までは初産牛のほうが有意に高いことを発見した。次いで初産牛と経産牛の間でなぜこのような差が生じるのかを明らかにするために、両群合計で113頭の牛から分娩3日目の乳汁を採取し、乳汁中PTHrP濃度と月齢、乳量、さらには乳汁中カルシウム濃度との関係を検討した結果、乳汁中PTHrP濃度は月齢と有意な負の相関を持っていることが分かった。免疫グロブリンをはじめとする多くの乳汁タンパク質と異なり乳汁中PTHrP濃度は経産牛よりも初産牛の初乳中で高く、また初乳中で最も濃度が低く、その後は徐々に上昇していくというユニークな性質を持つことが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

1.乳汁中における活性型PTHrPフラグメントの特定:
現在まで活性の有無を判定する系の作成を行っている。予備実験として大腸菌の系で作成したリコンビナント牛PTHrP(インタクト[1-141]や、乳汁中に存在すると報告される[1-108]など)を牛由来の4つの培養細胞に感作させ、サイクリックAMPやカルシウムイオンを指標に活性の有無を検討しているが、これまでのところ有意な変化を検出できていない。乳汁からのPTHrPの抽出は容易でなく、今後新規なPTHrPフラグメントが乳汁中から得られた場合にも活性を判定できる系は必須であり、その確立を急いでいる。
2.低カルシウム血症の発生と第一胃環境の相違:
想像していたよりも現場で第一胃液を採取することは困難なことが分かった。頭数をそろえるには大きな酪農場の協力を得るか、予想していたよりも長い期間をかける必要があるかもしれない。第一胃液だけでなく、血液と尿のサンプリングは継続している。

今後の研究の推進方策

1.乳汁中における活性型PTHrPフラグメントの特定:
上述のように乳汁からのPTHrPの抽出は困難であったが、活性の確認に用いていた培養細胞のひとつ、乳腺由来のBMGE+H細胞(Schmid et al. Tissue type-specific expression of intermediate filament proteins in a cultured epithelial cell line from bovine mammary gland. Journal of cell biology 1983, 96(1): 37-50.)が培養液中にPTHrPを分泌していることを発見した。乳汁に比較すれば培養液からは抽出や精製も行いやすいことが予想され、培養細胞だけでなく子牛に投与するなどしてBMGE+H細胞由来のPTHrPの生理活性を検討したい。ICP-MS (誘導結合プラズマ質量分析計)は当初、第一胃液の分析に用いる予定であったが、乳汁での測定がほぼ可能となったのでこれも利用していきたい。
2.低カルシウム血症の発生と第一胃環境の相違:
現場でのサンプリングと並行して、麻布大学動物管理センターの飼養牛(7頭程度)を用いた実験を行うことにする。乳牛における低カルシウム血症の予防を期待し、25(OH)D3を経口的に投与した牛の第一胃液はじめ血液や尿のサンプリングを行った。この第一胃液の発酵代謝産物(VFA、乳酸、アンモニアなど)およびミネラルの測定をする予定である。

次年度の研究費の使用計画

研究代表者と研究分担者の使い切れなかった金額の合計。
チップやチューブ等の消耗品を購入予定。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Changes in parathyroid hormone-related protein concentrations in bovine milk from the early stage of lactation2014

    • 著者名/発表者名
      Sato R., Onda K., Kazama K., Ohnishi M., Ochiai H., Kawai K., Kaneko K., Ohashi T., Miyamoto T., and Wada Y.
    • 雑誌名

      Livestock Science

      巻: 159 ページ: 117-122

    • DOI

      10.1016/j.livsci.2013.10.022

    • 査読あり
  • [学会発表] Changes in parathyroid hormone-related protein concentrations in bovine milk from the early stage of lactation.2013

    • 著者名/発表者名
      K. Onda, R. Sato, K. Kazama, H. Ochiai, and Y. Wada,
    • 学会等名
      The 2013 Joint ADSA-ASAS Annual Meeting
    • 発表場所
      Indianapolis, Indiana, USA
    • 年月日
      20130708-20130712

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi