研究課題/領域番号 |
25450459
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
木村 透 山口大学, 獣医学部, 教授 (80419027)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | メラノサイト / メラニン顆粒 |
研究実績の概要 |
これまでの2種類の実験動物を用いた皮膚科および形成外科学領域の研究成果をもとに、ヘアレス犬では、長波長紫外線UVA照射後の色素沈着および色素過剰性肥厚性瘢痕の評価系を樹立する。ニホンザルでは、真皮メラノサイトーシスの実験系を確立して臨床応用へ発展できる研究を行う。 1.ヘアレス犬を用いた色素過剰性肥厚性瘢痕の実験的誘導の確立 色素過剰性肥厚性瘢痕の実験的誘導の確立はでき、ヒトの色素過剰性肥厚性瘢痕に類似した病変を病理組織学的に確認した。ヘアレス犬の皮膚に誘導した色素過剰性肥厚性瘢痕を用いた治療方法への応用では、ステロイド剤(strong以上)を選び、局所塗布あるいはテープ剤密封療法を施した。その結果、病変の消退(縮小、軟化、平坦化など)を外観的に観察できたので、平成27年度に病理組織学的検査で治療効果を実証する予定である。以上の実験から、色素過剰性肥厚性瘢痕を誘導できる実験モデル系を確立し、ヒトの同病変の治療方法の応用に発展させる。 2.ニホンザルの真皮メラノサイトーシスの実験モデル化 ニホンザルの真皮メラノサイトの活性化は病理組織学的に確認できた。ニホンザルの真皮メラノサイトーシスを用いた脱色素剤の治療効果の評価については、脱色素剤ハイドロキノンを用いて試験を行った。その結果、ハイドロキノンにより真皮メラノサイトーシスに改善効果は観察されたが、劇的な治療効果とまでは評価できなかった。他に有効な脱色素効果を有する薬剤を用いて、同様の試験を試みる予定である。平成27年度には、真皮メラノサイトを有する実験動物の意義を示し、真皮メラノサイト病変の適切な治療への応用モデルとなることを明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「ヘアレス犬を用いた色素過剰性肥厚性瘢痕の実験的誘導の確立」については、予定通り達成することができた。ヘアレス犬の皮膚に色素過剰性肥厚性瘢痕が確実に誘導でき、組織構造が形態的にヒトの病変と類似することを明らかにした。 「ニホンザルの真皮メラノサイトの活性化」は誘導することができたが、次の「ニホンザルの真皮メラノサイトーシスを用いた脱色素剤の治療効果の評価」については、用いた脱色素剤の効果が十分でなく他の薬剤を検討しなければならない。 上記の理由で、やや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に従い、平成27年度も研究を推進する。 平成26年度に十分に果たせなかった脱色素剤についてその誘導体の効果を調べることにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度2月1日に自然科学研究機構から山口大学に異動し、大きな物品を購入することがなく、また消耗品等の購入もほとんどなく実施できた。
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次年度使用額の使用計画 |
現在、当方の研究室にミクロトームがないので、本年度ミクロトームを購入したい。
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